失敗しないBIツールの選び方:部長のためのBI活用講座【第2回】
BIツールの導入に失敗した企業の話を聞くと、どうやら社内展開の過程で問題が発生している場合が多いようだ。
BI(Business Intelligence)ツールの導入に成功した企業は少ないという話をよく耳にする。一方で、BIツールの導入により、ビジネス上で多くの効果が出ているという話もある。これは一方が良いBIツールを導入し、一方が良くないBIツールを導入したためだろうか。多くの企業の話を聞いていると、どうもそうではないようだ。もちろんどちらの企業も導入時にはさまざまなBIツールを評価し、要件に合う製品を慎重に選択したはずだが、社内で展開する過程で問題・課題が発生することが多いようだ。
役割によって必要なデータが異なる
企業には経営のトップである社長から、各組織のマネジメントを担当する管理者、営業・経理・製造などの現場担当者まで、さまざまな役割が存在する。また、ITの専門家である情報システム部門や、データ分析のプロフェッショナルであるマーケティング部門や経営企画室に所属する人もいる。
BIツールを利用する場合、それぞれの役割や担当業務が異なるため、当然必要なデータも異なる。また、データの見方や見るべきデータの粒度も異なるため、おのずとユーザーインタフェースも各役割に合ったものが必要になる。このあたりを十分に検討せずに導入していることが、BIツールの導入が成功しにくい理由の1つかもしれない。
以下、もう少し具体的な例を挙げながら、各役割に必要なデータとその分析手法について説明しよう。
経営者の視点──全社横断のパフォーマンス把握
社長や経営幹部は会社全体のパフォーマンスを見る必要がある。例えば、目標に対する全社や拠点での売り上げ達成度や利益状況など、比較的大きな固まりでの数値の把握が必要だ。この場合は、経営コックピットで重要な数値(KPI)の状況をふかん的に、しかも簡単に見えるようにすることが重要だ。
場合によっては、業績をリアルタイムにモニタリングするためのCPM(Corporate Performance Management)や、ビジネスプロセスをリアルタイムでモニタリングするBAM(Business Activity Monitoring)のような専用ツールが導入される場合もある。
部長の視点──自分で自由にデータ分析ができること
事業部長や営業部長は、自部門の売り上げ達成度や利益状況の把握が重要だ。この場合、製品分類別・顧客別の状況を把握し、目標と実績が懸け離れていればその要因分析が必要になる。要因分析のためには定型的な表やリポート以外に、製品の分類別、地域別、店舗別、顧客別、担当別といったさまざまな切り口で自由に分析できなければならない。
従来は、既存の定型的なリポートをMicrosoft Office Excelに再入力したり、情報システム部門にリポート作成を依頼したりしていたかもしれない。あるいは、必要なデータを情報システム部門に依頼し、そのデータをMicrosoft Office Excelなどで加工して(あるいはアシスタントに指示して)、分析リポートを作成したこともあるだろう。
このような役割の人たちにとってのBIツールは、事実の把握とそれに対する施策の立案、実施効果の把握、施策の見直しといった、自部門の業務におけるPDCAサイクルを回すための道具であり、自分でデータを自在にしかも簡単に分析できることが重要になる。
本連載の第1回「営業部長、SFAデータを本当に使えていますか?」では、営業部長の立場でSFAのデータ活用を解説しているので、そちらも参考にしてほしい。
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