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緊急医療に使えるデジタルペンは医療業界に浸透するのか?次の段階はEHRとの連携

災害などの緊急時の情報伝達は一刻を争う。これまでは紙による手書き入力が電子端末よりも優れている面が多かった。しかし、技術が進化したデジタルペンの登場により電子化の動きが進むことになりそうだ。

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 災害現場の緊急医療チームは大きな問題を抱えている。事態が刻々と変化する緊迫した環境の中で、負傷者のデータを迅速に取りそろえなければならないのだ(関連記事:災害時に患者の診療情報はどうあるべきか?)。そのシナリオに電子健康記録(EHR)システムが加わると、状況は一層複雑化する。

 ペンシルベニア州のサーキット、Pocono Racewayのメディカルオペレーション担当エグゼクティブディレクターで、同サーキットの公式メディカルスポンサー、Lehigh Valley Health Networkの緊急オペレーション管理者でもあるマイケル・ワーゴ氏は、この問題を解決するソリューションをようやく見いだした。それはEHRシステムとデータを同期させるデジタルペンの導入だった。全米自動車競争協会(NASCAR)のレースが開催されるPoconoでは、文字通り桁違いの大規模なイベントが行われる。Sunday's Sprint Cupレースには数万人の観客が集まり、6日間に及ぶイベント期間中、20万人以上ものレースファンが押し寄せるのだ。

 ワーゴ氏の新システムは、T-SystemのDigitalShareソフトウェア、Shareable Inkの書式、そして手書き文字を読み込んでデジタル化するAnotoのペンで構成されている。デジタル化した文字は、T-System EHR Webポータルで読むことが可能だ。

 書式の多くは、基本的に「はい・いいえ」で答えられる質問で埋められている。それらは「○」や「/」などの記号でチェックすればよく、データ入力が容易で、同期の正確性も確保できる。ところが、医師や看護師、救命救急士、緊急医療班、管理スタッフ、医療技術者、その他の人々は、それとは別に患者の名前や住所など、手書きで長いデータを書き込む必要がある。手書き文字認識ソフトは、それらをデジタル化し、編集可能なテキストとしてEHRシステムに取り込む。その点がFAXのような、検索不可能な“フラット”イメージとは全く異なる(関連記事:効率的な紙カルテのデジタル化がペーパーレスを成功に導く)。

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