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【市場動向】消費税増税へ、改修必至の企業システムは?2014年4月に8%、2015年10月に10%へ

消費税増税の可能性が高まってきた。しかもこれまでに例のない2段階での増税で、一部商品に対する軽減税率の適用も検討されている。企業情報システムへの影響を考えてみた。

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 消費税の増税を柱とする「社会保障・税の一体改革」関連法案が6月26日に衆院を通過した。現在は参院で審議中だが、消費税率のアップが現実味を帯びてきた。消費税率が上がることで企業の会計や販売管理システムに影響はないのか。アイ・ティ・アールのプリンシパル・アナリスト 浅利浩一氏に聞いた。

2段階で税率アップ

 現在の計画では消費税率は2014年4月に現行の5%が8%にアップ。そして2015年10月には10%に上がる予定だ。消費税は1989年4月に3%で導入され、1997年4月に5%となった。2004年には価格表示で消費税込みの総額表示が義務付けられた。8%、10%と2段階で税率が上がるのは今回が初めてだ。

消費税の推移
導入日 税率 備考
1989年4月1日 3% 消費税法が施行
1997年4月1日 5%  
2004年4月1日 5% 消費税を含んだ「総額表示」義務付け
2014年4月(予定) 8%(予定)  
2015年10月(予定) 10%(予定)  

 浅利氏はコンサルティング先の顧客などに聞いた話として「企業システムにおける消費税対応の優先度は高くない」と話す。多くの企業は3%から5%に税率が上がった段階でシステムの消費税対応をマスター化しているという。マスター化とは、商品や製品の価格とは別に税率の情報をシステムに持たせることをいう。税率が上がる場合は、このマスターを改修するだけで対応が可能。システム全体に影響を与えないために確認作業も少なく済む(マスターについての参考記事:読めば分かる!  ERPのマスター管理・ワークフロー・権限管理)。

 ただ以下の3つのシステムを使っている場合はより多くの作業が発生する可能が高い。1つは旧型のメインフレームや手組みのシステムを使っているケースだ。販売管理システムなどでは旧型のオフコンや手組みシステムが意外に残っている。これらのシステムは過去の消費税率のアップの際、カスタマイズで対応したケースが多く、今回もカスタマイズで対応する必要がある。2段階で消費税率が上がることを考えると、オープン系システムに刷新することを検討する企業も出るだろう。

日付をさかのぼって異なる税率を適用

画像
アイ・ティ・アールのプリンシパル・アナリスト 浅利浩一氏

 もう1つは、税率マスターに日付データを持たせることができない場合だ。例えば、2014年4月1日に税率が5%から8%に上がると想定すると、同年3月31日に販売契約をした商品の税率は5%のままだ。しかし、商品到着後、請求書を4月1日に作成する場合、税率マスターが日付データを持っていないと8%の税率で計算されてしまう。4月1日発行の請求書だが、3月31日に販売契約をした商品では5%の税率にするという仕組みが必要になる。税率マスターに日付データを持たせられない場合は、マスターデータマネジメントツール(MDM)などを使って、販売や会計システムの外から税率をコントロールする必要がある。

 最後は官庁や地方自治体が使っている業務システムだ。複数年度をまたがった管理が常識の企業システムと異なり、官庁や地方自治体の税収システムや売掛金管理システムなどは単年度の管理がベースになっている場合がある。消費税率のアップに対応させるには大掛かりな改修が必要になるというのが浅利氏の見方だ。

 日本企業の情報システムはこれまで消費税率のアップなどさまざまな法令や法規制、また元号の改元に対応してきた。柔軟性が高いオープン系のERPを採用する企業が多くなったこともあり、変化への対応力はかつてと比べて格段に上がっているようだ。ただ、「何もしなくてもいいというユーザーはいない」(浅利氏)。一般的なテストの他に、例外的な処理についてのテストも必要になるだろう。消費税の増税が決まったら早めの対応開始が必要になる。

ベンダーには既に問い合わせ

 実際、会計システムやERPのベンダーには消費税の増税についてユーザーから問い合わせが増えているという。ERP製品「PCA Dream21」や会計ソフト「PCA会計X」などを開発するピー・シー・エーの営業本部 戦略企画部 プロダクト企画グループ 課長 篠崎洋介氏は、消費税の税率アップに伴う製品の対応について「最近になって先々で聞かれるようになった」と話す。製品の具体的な対応方法だけではなく、ソフトウェアの構造、過去にさかのぼって異なる税率を適用する方法などについても聞かれるという。

 今回の消費税の増税では、生活必需品などに限って税率を抑える軽減税率の導入も検討されている。その場合は物品によって消費税率が異なることになり、システム対応の複雑さが増す。篠崎氏によると、ユーザーからはそのような個別の対応についても聞かれるというが、政府が正式決定をしないと対応方針を決めることができないのが実際だ。消費税は会計や販売管理システムの内部処理だけではなく、税務申告書などの帳票にも関係する。篠崎氏は「早く詳細を決めてもらって、早く対応をしたい」と話す。

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