HTML5はスマートデバイス用アプリ開発に使えるか?:HTML5アプリ vs. ネイティブアプリ
HTML5はスマートデバイス用アプリの開発に使えるのか否か。肯定派・否定派双方の意見から、HTML5のメリット/デメリットを整理する。
HTML5には、モバイル端末の特性を生かした改善が幾つか施されている。とはいえ、HTML5を使ったWebアプリケーションはまだまだこれからの分野だ。
HTML5を使ったWebアプリケーションはブラウザ内で動作するが、そうしたHTML5アプリケーションに対する批判の1つに、「(HTML5アプリでは)スマートフォンやタブレットの高い人気の要因となっているマルチタッチ機能やカメラ、プッシュ通知といった特性を活用できない」というものがある。
新しいAPI(Application Programming Interface)のおかげで、そうした状況も変わりつつある。だがパフォーマンスとオフラインアクセスに関しては、まだ疑問が残っている。
HTML5アプリを検討中のIT部門にとって、異種ブラウザ間の互換性も懸念材料の1つだ。主要ブラウザはそれぞれHTML5をサポートするが、HTML5の新機能が全てのブラウザで一斉に採用されるわけではないからだ。
「HTML5はあらゆるブラウザでユビキタスにサポートされているわけではない」と米製薬会社Sanofiのモバイルエンジニアリング担当ディレクター、ブライアン・カッツ氏は指摘する。
関連記事
- セキュリティ強化のはずが逆効果? HTML5「サンドボックス」の盲点
- スマートフォンアプリ開発の最新動向が分かる3つのホワイトペーパー
- HTML5を活用! スマートフォンアプリ開発の最前線を見る(ホワイトペーパー)
- モバイルアプリケーション開発への取り組み状況は?(ホワイトペーパー)
HTML5アプリの良い点
先日シカゴで開催された「BriForum 2012」のセッションでは、米リモートアクセスベンダーEricom Softwareの最高技術責任者(CTO)ダン・シャピア氏により、HTML5プログラミング言語の進化とそのメリットが論じられた。同氏は、JavaアプレットやFlashといったブラウザプラグインの代替選択肢としてHTML5が登場した経緯や、HTML5がモバイルアプリケーション開発者の間で人気を集めている理由について説明した。以下がその要点だ。
- HTML5を使えば、開発者はいったん開発したアプリケーションを複数のプラットフォームに展開できる。「いったん開発すれば、どこであれ実行できる。少なくとも、これまでで一番そのレベルに近づいている」とシャピア氏
- HTML5は新しいWeb標準規格としてWorld Wide Web Consortium(W3C)とWeb Hypertext Application Technology Working Group(WHATWG)に支持されている他、Apple、Microsoft、Google、Mozilla Foundation、Operaといった主要なWebブラウザベンダーや団体からも支持を得ている
- HTML5には古いブラウザとの下位互換性がある
さらにシャピア氏によると、HTML5では端末固有の機能との統合性も強化されているという。例えば、新たに追加される「WebRTC JavaScript API」により、開発者はモバイル端末のカメラやマイクにアクセスするブラウザベースのリアルタイム音声動画通信アプリを開発できる。
今のところ、このAPIをサポートしているブラウザは「Google Chrome」のみだ。
関連記事
HTML5アプリの悪い点
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.