待ったなしのWindows XP移行、支援ツールで簡単に済ますには?:2014年4月のサポート終了が迫る
Windows XPのサポート終了が2014年4月に迫っている。OSの移行を検討するユーザーにとって、時間とコストが大きな頭痛の種だ。OS移行を支援するツールを取り上げる。
「Windows XP」のサポート終了が2014年4月8日(日本時間では2014年4月9日)に迫り、多くのユーザーが新しいOSへの移行を検討中だ。だが、Windowsのアップグレードは多大な時間とコストを要する作業になりかねない。
企業の中には、移行しなければならない端末があまりに多く、またIT管理者にとって最大の関心事はデータ整合性の確保であるとの理由から、Windows XPの移行を先延ばしにしているところもある。
だが、Windows XPを「Windows 7」あるいは「Windows 8」に今こそアップグレードすべき理由は多数ある。その1つは、「Windows XP搭載PCを保守し、Windows XPアプリケーションとデータをサポートするコストが法外に高くなっていること」だ。米調査会社IDCが発表した2013年白書によると、Windows 7搭載PCのサポートコストが168ドルなのに対し、Windows XP搭載PCは870ドルとかなり高くなっている。
Windows XP移行ツールを使えばアップグレードが容易に
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米Accentureと米Microsoftの合弁会社である米Avanadeは目下、顧客である金融サービス会社の10万台を優に超えるデスクトップPCをWindows XPからWindows 7に移行させているところだ。この大規模なプロジェクトは2014年中に完了する予定という。
Avanadeのようなコンサルティング会社にとって、大きな問題は「技術的なこと」ではない。難題は、「移行への着手を提案するのに必要なデータを全て集め、各事業部門やCレベルの幹部(CFO、CIO、COOなど)から承認を得ること」だ。この取り組みは多大な労力を要し、十分に調整を図る必要がある。「顧客企業の戦術的なニーズと全体的な事業戦略を比較考量しなければならない」と、AvanadeのITインフラグループ担当上級ディレクター、マット・トッパー氏は指摘する。
「デスクトップOSにお金を使いたいとは誰も思わない。オフィス器具の修理よりも後回しにされるステップだ。アップグレードが売上高の増加につながることをCレベルの幹部に証明するのは難しい」とトッパー氏は語る。「管理の行き届いたデスクトップ環境をきちんと稼働させることが、いかに複雑でコストの掛かる取り組みであるかは、決して理解されない。安く済ませようとすれば苦戦を強いられ、3〜5年後には厄介な事態に直面することになるだろう」と同氏は続ける。
充実するWindows XPの移行支援ツール
Microsoftは「Windows Assessment and Deployment Kit(ADK)」や「User State Migration Tool(USMT)」など、企業によるWindows XP移行を支援するためのツールを幾つか提供している。米Symantecの「Altiris Deployment Solution」や「Altiris Client Management Suite」など、サードパーティー製のツールも提供されている。
Avanadeは自社のビジネスインテリジェンス(BI)アプリケーションを使ってデスクトップ環境の分析と評価を行ったが、併せて米BDNAのDaaS(Data as a Service)技術も使用した。
BDNAのDaaSツールは企業のIT環境を丸ごと評価し、「Windows XPから移行すべきアプリケーションやハードウェア、データ」を見極めることでIT部門を支援する。BDNAの「Technopedia」はカテゴリごとに分類されたデータリポジトリであり(目録にリストされているソフトウェアとハードウェアは19〜20万種類に及ぶ)、社内でどのような企業向けソフトウェアとハードウェアが使用されているかの把握に役立つ。その他のツールは、ユーザーファイルと設定を中心に新しいOS環境への移行を支援する。
BDNAのDaaSツールを使えば数千台の端末の目録を作成できることから、ある政府機関はこのツールを使ってコンピューティング資産の在庫を調べたという。
この政府機関の匿名希望のITスペシャリストは次のように語る。「PCが多数あることは、われわれにも分かっていた。だが厳密に言うと、そうしたPCのOS、シリアル番号、その他各種の情報は誰も把握していなかったのではないだろうか。長い年月を経るうちに、監視対象から外れ、ドメインに加えられずにきたPCがある。BDNAのDaaSツールを使うことで、こうしたPCを探し出し、その所在を把握できた」。今のところ、この政府機関ではWindows 7への移行は順調に進んでいるという。
こうした可視性を提供するツールを使えば、Windows XP移行計画の策定がはかどり、ときには移行に要する時間が9カ月間から2週間に短縮されることもある。「2014年4月が刻々と迫る中、この点は極めて重要だ」と、BDNAの広報担当者マヘシュ・クマール氏は語る。
「期限は迫りつつあり、『大変だ、早くやらなければ』という声があちこちで聞かれる」(同氏)
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課題が残るWindows 8への移行
クマール氏によると、大半の企業はWindows XPからWindows 7への移行を安全と考えているという。一方、BDNAの顧客のうち、Windows XPからWindows 8への移行を検討しているのはわずか10〜15%だ。
つまり、Microsoftには引き続き大きなハードルが待ち構えているということだ。Microsoftは先頃、「Windows 8.1」を2013年10月18日(日本では17日)にリリースすると発表した。Windows 8の発売から1年足らずでの次期バージョン提供となる。
「企業はWindows 8の導入にはまだ程遠い段階にいる」。そう語るのは、IDCのモバイルデバイストラッカー担当プログラムマネジャーを務めるライアン・リース氏だ。「Windows 8は、企業が機能させる必要があるアプリケーションを全てサポートしているわけではない。これはWordとExcelだけの問題ではない」と同氏は語る。
デスクトップPC市場では、Windows XPのシェアは依然として大きく、Windows 7に次ぐ第2位だ。米NetMarketShareによると、デスクトップOS市場におけるWindows XPのシェアは37.2%。それ以外は、Windows 7が44.5%、Windows 8が5.4%、Windows Vistaが4.2%、Mac OS Xが6.7%、その他の旧版OSが2%となっている。
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