マイナンバーだけじゃない もう1つの国民共通番号制度「医療等ID」とは?:両制度の比較で理解する
2013年5月、社会保障・税に関する個人情報を単一の番号で管理する「マイナンバー」制度の関連法案が成立した。政府は並行して、医療・介護情報などの機密情報を管理する番号制度の検討を進めている。その内容とは?
マイナンバー制度の導入で、国民の医療情報の漏えいリスクが急増!?
2013年5月24日、国民1人ひとりの所得や納税実績、社会保障に関する個人情報を単一の共通番号で管理する「マイナンバー」制度の関連法案が参院本会議で可決、成立した。2015年秋に各地区町村から個人番号の通知カードが送付され、2016年1月に利用開始が予定されている。
その導入目的は、社会保障・税に関する“行政事務の効率化”と“国民の利便性の向上”にある。しかし、マイナンバー制度の利用範囲には医療・介護分野も含まれるため、「既往歴や薬歴など個人の機密情報が漏えいするでは?」と情報の管理体制に不安を持つ声もある。確かにマイナンバー制度の利用範囲の中には医療・健康分野も含まれるものの、実際には既往歴や薬歴などの情報を取り扱うものではない。
一方、政府は医療・介護に関する個人情報を管理するため、マイナンバー制度とは異なる番号制度の導入を検討している。民主党政権下の2012年9月に「医療等分野における情報の利活用と保護のための環境整備のありかたに関する報告書」において「マイナンバーとは異なる医療等の分野で使える可視化された番号を導入する」と公表され、当時は「医療等ID(仮)」と呼ばれていた。その後、政権交代により一度議論は中断。安倍政権が2013年6月に閣議決定した「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」において、国民の医療・介護情報を管理する「医療情報の番号制度」(以下、便宜上『医療等ID』と表記)の導入を図ることが再び示された。
マイナンバーと医療等ID。両者の違いや導入メリットとは一体何だろうか? 本稿では「医療クラウド推進コンソーシアム第1回勉強会」(2013年11月開催)における「日本ユーザビリティ医療情報化推進協議会」(以下、JUMP)事務局長 小島健二氏の講演「医療情報化を早期に実現する 共通番号制度について」の内容を踏まえて、両制度の概要を整理する。
医療情報化と共通番号制度の必要性について、小島氏は「“超高齢社会への対応”“医療費の適正化”などの社会的な情勢、政府が成長戦略の重要分野として位置付けている医薬品・医療機器分野における国際競争力の強化や安全性、質の向上が課題になっていることが背景にある」と説明する。
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