Ciscoが考えるSDN戦略とは
ネットワーク分野で注目集めるもう1つの「Nexus」
Ciscoは、先日発表した「Application Centric Infrastructure」(ACI)により、次代のユニファイドデータセンターを定義すると意気込む。パートナー企業も巻き込んだ、その野心的なデータセンター戦略を読み解く。
米Cisco Systemsが2013年11月に発表した「Application Centric Infrastructure」(ACI)。次代のユニファイドデータセンターを定義するという触れ込みだ。Ciscoは、ACIの発表により、同社の“スピンイン”(※)企業であるInsieme Networksの中核技術を形にしただけでなく、野心的なデータセンター戦略を打ち出した。
※スピンイン:Ciscoの元社員が同社の出資を受けて起業し、その新興企業をCiscoが買収するモデル。
Ciscoのワールドワイドチャネルデータセンター営業担当シニアディレクター、ジョン・グロードン氏は、ACIがパートナーに売り上げ機会と利益機会を提供すると述べ、「データセンタースイッチングの観点からみて、チャネルパートナーは過去最大のチャンスを手にする」と強調した。
Ciscoによると、ACIは、ソフトウェア、ハードウェア、システム、ASIC(特定用途向けIC)のテクノロジーを、オープンAPIを中心に構築された動的なアプリケーション認識ネットワークポリシーモデルと組み合わせることで、アプリケーション配備のライフサイクル全体を迅速化するという。
ACIの発表に併せ、多くの新商品が発表された。具体的には、「APIC(Application Policy Infrastructure Controller)」、モジュール型および固定構成のACI対応スイッチ「Nexus 9000ファミリー」(Nexus 9000はACIの基本的構成要素)、オペレーティングシステム「NX-OS」の強化版など。また、20社以上のベンダーパートナーから成るエコシステムも紹介された。
さらに、顧客のACIへの移行を支援する、専門的かつ技術的なサービスとプログラムも多数発表された。Ciscoによると、NexusのCisco認定パートナーは、関連サービスを再販できるという。関連サービスには、「Cisco Readiness Planning」「Cisco Quick Start Service for Nexus 9000」「Cisco Accelerated Deployment Services for Nexus 9000」などがある。
また、データセンターインフラのセキュリティを確保するサービス、例えば「Cisco Data Center Security Posture, Assessment, Plan and Build」や「Optimization Services」は、Ciscoとセキュリティ分野の専門パートナーが共同で提供可能である。
ACIの発表に際し、Insieme Networksのマーケティング担当副社長、イシュ・リンカケン氏は、Ciscoの今後数カ月間の製品リリースロードマップを次のように説明した。
- 40GアグリゲーションNX-OS、8スロットシャーシ、40Gイーサネットラインカードを数日以内に出荷
- 2014年初めにトップオブラック(ToR)NX-OSスイッチと10Gイーサネットラインカードを出荷
- 2014年第2四半期に、Nexus 9000スイッチファミリーを拡充し、4スロットおよび16スロットシステムと、追加のToRスイッチを投入
アプリケーション配備の迅速化とアジリティの向上を実現
戦略的な観点からみると、ACIは、Ciscoのパートナーが顧客との関係を拡大する新たな道を開く。パートナーは、案件に対応するに当たって、顧客のネットワークやコンピュータの担当者だけでなく、アプリケーションの専門家やビジネス部門のマネジャーとの対話も可能になりそうだ。
「われわれはACIにより、スタックのより上位層をカバーしていく。パートナーが顧客とのこうした対話を目指すのは、アプリケーション配備の迅速化とアジリティ(俊敏性)の向上を実現するためだ」(グロードン氏)
Cisco認定ゴールドパートナーである米ePlusの最高技術責任者(CTO)、マーク・メルビン氏も同じ見方だ。「ACIは、ePlusや他のローンチパートナーに、市場における大きな差別化要素を提供してくれる。われわれが顧客に提供できるアジリティ、スケーラビリティ、パフォーマンスのレベルは、顧客との対話の質に左右される。その点、われわれはACIのおかげで、密度の濃い対話ができる」
さらにメルビン氏は、CiscoはACIの発表により、顧客に明確な移行パスを提供するとともに、この技術を活用する独自のビジネスユースケースを作成できるようにしていると語る。「非常にダイナミックな環境にある企業では、ACIのおかげで、市場やビジネスの変化に応じて、ほぼリアルタイムに新しいアプリケーションやサービスを提供できることが、大きなメリットになる。動きの少ない環境の企業では、可視性と、オペレーションコストの削減というメリットを享受できる」
グロードン氏は、パートナーは今こそ、データセンターで起こっている全ての変化を利用すべきだと強調。その例として、プライベート/ハイブリッドクラウドや、企業がビジネスを前進させるために必要になる大規模なアップグレードサイクルを挙げた。
Ciscoのパートナーが今すぐ利用できる売り上げ機会は、40Gの「Bidi Optics」を採用したスタンドアロンモードのNexus 9000スイッチを提供することだ。顧客はネットワークをアップグレードし、既存のケーブリングを使って高速化と高密度化を実現できる。
Ciscoのグロードン氏は、パートナーはNexus OSに精通しているだけに、「パートナーコミュニティーの全てのメンバーに、自信を持ってこのアップグレードに参加してもらえるし、そうしてもらえるだけの強力な理由もある」と胸を張った。
Nexus 9000シリーズには、モジュール型と固定の1/10/40Gビットイーサネットスイッチ構成がある。スタンドアロンNX-OSモードとACIモードのどちらでも動作できるように設計されており、ACIのアプリケーションポリシーによるサービスとインフラ自動化機能をフルに活用できる。
パートナーにとっては、ソリューションでACI面の取り組みを進めれば、ビジネスチャンスは大きくなる。その先進的な機能や性能のおかげだ。この点について、グロードン氏は、パートナーは顧客が使う独自アプリケーションのネットワークプロファイル作成支援など、専門サービスを提供できる可能性があると指摘した。
「パートナーがこのプラットフォームでACI、あるいはファブリックモードを手掛ければ、専門サービスを提供する機会がたくさんあるだろう。このプラットフォームは極めて強力であり、その機能はこれまで市場で販売されてきた、どのスイッチよりも格段に優れている」(グロードン氏)
当初のビジネス機会は、Nexusを販売する全てのCisco認定パートナーに開かれている。だが、ACIやファブリック関連の高度なビジネスの機会を生かせるのは、技術力が高く、人材開発に積極的なパートナーに限られ、その数は数百社にとどまると、グロードン氏は述べた。
「われわれはACIの発表に非常にワクワクしている」(ePlusのメルビン氏)
パートナーへの技術支援を拡充
Ciscoは、パートナーの技術向上を支援する戦略を進めようとしている。この戦略は時間とともに拡充されていく。
2013年11月から2014年1月まで、Ciscoは一般の全Nexusリセラー向けに2日間の研修を提供する。この研修では、新製品/プラットフォームに関する知識の提供など、主にスタンドアロンソリューションに重点が置かれ、ACIの紹介も行われる。セールスエンジニアと展開エンジニアを対象に北米地域の約40都市で実施される。Ciscoは1000人以上の受講者を見込んでいる。
また、アカウントマネジャー向けにWebExの2時間の研修クラスも同じく11月から開始される。Ciscoは4つのWebExクラスを運営する予定。12月にはクラスの録画をオンラインで公開し、パートナーが簡単にアクセスできるようにする。
さらに、Ciscoはオンラインで“ラボ”を開設し、パートナーがCisco製品を操作して習熟できるようにする計画だ。2014年1月までに、パートナーがラボを利用できるようにすることを目指している。
なお、CiscoはACIの発表と併せて、Insieme Networksの未取得株式を買い取る方針も明らかにした。これまでにInsiemeには1億3500万ドルを出資している。取引の完了後、InsiemeはCiscoの完全子会社となる。
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