IT機器のベンチマークテストを実施する会員制サービス「@benchmark」を提供開始、東陽テクニカ:NEWS
東陽テクニカとパステル・ネットワークスは2014年4月15日、会員制のIT機器ベンチマークテストサービス「@benchmark」を提供開始した。全会員が検証結果を閲覧・再利用でき、情報交換の場となる会員専用SNSを設置する。
東陽テクニカとパステル・ネットワークスは2014年4月15日、会員制のIT機器ベンチマークテストサービス「@benchmark」の提供開始を発表した。@benchmarkは、会員から依頼された環境設定でIT機器やソフトウェアの検証を実施し、その結果を会員に提供するサービス。検証結果は依頼会員の情報を伏せてWebサイトで公開し、全会員が閲覧したり、再利用することが可能だ。IT機器の的確な選定や効果的な導入を支援することが目的。
@benchmarkの検証対象機器は、ネットワーク機器(スイッチ、ルータ)やサーバ、ストレージ、UTM(統合脅威管理)製品、ロードバランサなど。検証を依頼する場合、会員は検証対象機器を東陽テクニカの「電子技術センター」に持ち込み、検証項目やその設定条件を指定する。専門知識や経験、ノウハウを持つ東陽テクニカのテスト技術者10人が専用計測器などで検証を実施し、その結果を7〜10日間で依頼会員に提供する。
主な対象項目は、以下の通り。
- スループット
- 最大転送レート
- レイテンシ(遅延)
- TCPトラフィック帯域
- 新規セッションレート
- 最大TCPコネクション保持数
- 書き込み/読み取り速度
- 毎秒コール数
- 音声品質評価値(通話品質の主観的な評価値の「MOS値」、IP電話の総合的な音声伝送品質を示す数値の「R値」)
- 実効消費電力
ベンチマークの種類は、
- ハードウェアの性能測定
- ソフトウェアスイッチ、ソフトウェアルータ、OpenFlowスイッチなどの性能測定
- 仮想環境のボトルネックといわれるストレージI/O測定
- モバイル環境を想定したSSL VPN接続数
などを想定している。「これまでベンチマークテストで取り上げることが難しかった項目も検証する予定」(中村氏)
また、@benchmarkのWebサイトで公開されるテスト結果リポートは、著作権は@benchmarkに帰属する。ただし会員は、出典を明記すれば自社内の導入検討や提案資料として利用できる。さらに「テスト結果が単なる数値比較に終わらないように、テスト項目の必要性や結果から読み取れる内容を解説するコラム、活用ノウハウなどをWebサイトで公開する」(東陽テクニカの情報通信システム営業部課長 中村彰宏氏)。加えて、マニュアルに記載されていない情報や会員間での情報交換の場となる会員専用SNSを設置する予定だ。
@benchmarkでは「ベンチマークテストを実施してこなかったシステムインテグレーター(SIer)」「機器選定時に検証結果を重視するユーザー企業の情報システム部門」「基本構成での検証結果を得たいSIerからのアウトソーシング」「検証リポートやノウハウを閲覧することで、エンジニアのスキルアップを図りたい企業」などを想定会員としている。
東陽テクニカの中村氏は「@benchmarkはユーザーの立場になって、実際の利用環境に近い設定で各機器の検証結果を提供する。ベンダーが公表するカタログスペックの情報と乖離することもあるが、それこそがユーザーが求めているデータだ」と語る。
東陽テクニカ 執行役員 情報通信システム営業第1部長 北山正姿氏は「これまで機器の検証への投資が難しかったSIerや中堅規模のユーザー企業などに利用してもらうことで“検証サービスのクラウド化”を目指す」と語る。@benchmarkでは毎月3本以上のテスト結果リポートを公開する予定。
@benchmarkの会員登録料は、月額5万円(最低利用期間6カ月間)または年間55万円(いずれも税別)。パステル・ネットワークスが会員獲得やサービスのプロモーション活動を担当する。両社は2015年4月までに100会員・団体の利用を見込んでいる。
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