日本HP、統合型システムとクラウド管理ツールを刷新:NEWS
サーバ仮想化、クラウド、ビッグデータ、モバイル分野に特化した統合型システムの新製品を発表。また、OpenStackベースのクラウド管理ツールも提供を開始した。
日本ヒューレット・パッカード(HP)は2014年4月17日、統合型システムの新製品群「HP ConvergedSystem」の4機種と、「OpenStack」をベースとするクラウド基盤ソフトウェアの新製品「HP CloudSystem」を提供開始した。
HPは2009年11月に最初の統合型システム「HP BladeSystem Matrix」を発表し、2011年7月には特定用途向けの製品としてVMware仮想環境向け「HP VirtualSystem」、クラウド基盤向け「HP CloudSystem」(今回発表したHP CloudSystemとは別製品)、特定アプリケーション向け「HP AppSystem」などを提供してきた。HP ConvergedSystemは、これらの製品のブランド名を刷新した後継製品だ。
HP ConvergedSystemはサーバ仮想化、クラウド、ビッグデータ、モバイル用途に特化した4機種があり、それぞれの処理内容に適するサーバ、ストレージ、ネットワーク、アプリケーションなどを組み合わせた構成を取る。
サーバ仮想化向け製品「HP ConvergedSystem for Virtualization」は、必要な仮想マシン(VM)数や仮想化ソフトウェアに応じて3つのモデルを用意した。
- VMwareの仮想化ソフトウェアの稼働を想定したハードウェア構成で、最大300VMまで稼働可能な「HP ConvergedSystem 300 for Virtualization」
- VMwareの仮想化ソフトウェアの稼働を想定したハードウェア構成で、最大1000VMまで稼働可能な「HP ConvergedSystem 700 for Virtualization」
- VMwareの仮想化ソフトウェア/Microsoft Hyper-Vの稼働を想定したハードウェア構成で、カスタマイズ性を重視した「HP ConvergedSystem 700x for Virtualization」
の3つだ。
クラウド基盤向け製品「HP ConvergedSystem for Cloud」は、HP ConvergedSystem 700x for Virtualizationと同じハードウェア構成で、後述するHP CloudSystemを標準搭載することでハイブリッドクラウド環境の基盤として利用できる。
ビッグデータ基盤製品「HP ConvergedSystem for Big Data」は、インメモリデータベースや分散データ処理基盤ソフトウェア「Apache Hadoop」などの処理向けに最適化されたモデル。その第1弾として、インメモリデータベース処理ソフトウェア「SAP HANA」向け「HP ConvergedSystem 500 for SAP HANA」を提供する。バックアップソフト「HP Data Protector」、クラスタリングソフト「HP Serviceguard for Linux」を搭載するなど信頼性を高めている点が特徴だ。
「HP ConvergedSystem for Mobility」は、リモートデスクトップ環境の基盤。「Citrix XenDesktop」が稼働し、仮想化技術を利用しないリモートデスクトップ環境「HDI(Hosted Desktop Infrastructure)」によるモバイル端末からのアクセス基盤となる「HP ConvergedSystem 100 for Hosted Desktop」モデルを用意。
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日本HP HPサーバー事業統括本部 エンタープライズサーバー製品部 部長 中井大士氏は「“ソフトウェアを最適に動かせるハードウェアが欲しい”というユーザーの要望に応えるため、ソフトウェア専用のハードウェア構成を用意した」と説明する。例えば、従来の統合型システムではブレード型サーバを主に採用していたが、HP ConvergedSystemではカートリッジ型サーバ「HP Moonshot System」やラックマウント型サーバ「HP ProLiant DL300/500」シリーズなどを採用している。
また、中井氏は「システム性能の最適なサイジングやチューニングが事前に施された検証済みのベストプラクティス構成を提供することで、アプリケーション稼働環境をワンストップで迅速にサービスインできる」と導入メリットを語る。日本HPによると「オーダーの受け付けは最短1日で完了し、納品は30日以内、性能拡張も最短5日で可能だ」という。
OpenStackベースのクラウド管理ツール「HP CloudSystem」も提供
同時に発表されたHP CloudSystemは、OpenStackをベースにした「HP Cloud OS」を活用したクラウド基盤管理ソフトウェア。独自技術を採用した既存のクラウド管理ツール「HP Matrix Operating Environment」を刷新。ユーザーインタフェースやAPIなどをOpenStackベースに移行している。
HP CloudSystemには、IaaS(Infrastructure as a Service)環境向け「HP CloudSystem Foundation」、IaaS/PaaS(Platform as a Service)環境向け「HP CloudSystem Enterprise」の2種のエディションがある。HP CloudSystem Enterpriseは、「HP Public Cloud」「Amazon Web Services」「Microsoft Azure」などのパブリッククラウドと連係でき、クラウド間のタスク割り振りなどの機能を利用できる。
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日本HP HPサーバー事業統括本部 HPサーバー製品統括本部 統括本部長の橘 一徳氏は「多くの企業が、ITシステムの複雑化と運用管理コストの肥大化という課題を抱えている。今回発表した新製品は、これらの課題解決を支援できる」と説明する。
また、クラウドやビッグデータ、モビリティ、ソーシャルなど“New Style of IT”と同社が表現するれるITの新しい潮流に対応するという同社のエンタープライズ戦略の中核を両製品が担っていると強調した。
製品名 | 用途 | 注力ソフトウェア | サーバ | ストレージ | ネットワーク | 構築作業バンドル |
---|---|---|---|---|---|---|
HP ConvergedSystem 300 for Virtualization | サーバ仮想化 | VMware | HP ProLiant DL380p Gen8 | HP StoreVirtual VSA | HP 2920/HP 5900 | ○ |
HP ConvergedSystem 700 for Virtualization | サーバ仮想化 | VMware | HP BladeSystem c7000 | HP 3PAR StoreServ | HP 5920/HP 5120 | ○ |
HP ConvergedSystem 700x for Virtualization | サーバ仮想化 | VMware/Microsoft Hyper-V | HP BladeSystem c7000 | HP 3PAR StoreServ | HP 5920/HP 5120 | ○ |
HP ConvergedSystem 700x for CloudSystem | クラウド | HP CloudSystem Foundation/Enterprise VMware/Microsoft Hyper-V | HP BladeSystem c7000 | HP 3PAR StoreServ | HP 5920/HP 5120 | ○ |
HP ConvergedSystem 500 for SAP HANA | ビッグデータ | SAP HANA | HP ProLiant DL580 Gen8 | 内蔵ストレージ、またはHP 3PAR StoreServ | モデル別に搭載 | ○ |
HP ConvergedSystem 100 for Hosted Desktop | モバイル | Citrix XenDesktop | HP Moonshot System/HP ProLiant m700 | iSSD 32GB/iSSD 64GB | HP Moonshot-180G Switch Module Kit | なし |
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