クラウド展開が容易になった、XenDesktop 7.5/XenApp 7.5の進化:モバイルエクスペリエンスも進化
シトリックスのデスクトップ仮想化およびアプリケーション仮想化ソフトの新バージョン(7.5)が2014年3月末に提供される。同社が2012年から取り組んできた「Project Avalon」のミッションであるクラウド対応が実現した。
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シトリックス・システムズ・ジャパン(シトリックス)が2014年3月末に提供開始するデスクトップ仮想化ソフトの最新版「Citrix XenDesktop 7.5」とアプリケーション仮想化ソフトの最新版「Citrix XenApp 7.5」。前バージョンの6.5ではXenDesktopのエディションの1つとしていたXenAppを単体ライセンスで提供する。また、XenDesktop/XenAppの仮想デスクトップ/アプリケーションをパブリッククラウドへ直接展開できる機能を付加するなど、クラウドをより利用しやすい環境を提供する。こうした変更によって、Windowsアプリケーションのモバイルデバイスでの活用やクラウド対応を強化するバージョンアップとなっている。
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クラウドへのプロビジョニングが可能に
シトリックスでは、2012年から「Project Avalon」というコンセプトを推進している。このコンセプトは、Windowsアプリケーション/デスクトップをクラウドサービスとして展開し、さまざまなデバイスで利用可能にするというものだ。特に、モバイル対応をポイントとしており、クラウドを通じてさまざまなモバイルデバイスにWindowsアプリケーションを配信できる。今回バージョンアップしたXenDesktop 7.5/XenApp 7.5共、このコンセプトにのっとって機能向上を図っている。
シトリックス・システムズ・ジャパン チャネルアンドマーケティング本部 プロダクトマーケティング部 シニアマネージャーの竹内裕治氏は次のように説明する。
「2013年にリリースしたXenDesktop 7/7.1でもクラウドへの展開を意識した機能強化が行ったが、XenDesktop 7.5ではクラウドへの展開をよりシンプルに行えるよう機能の向上を図った」(竹内氏)
具体的には、XenDesktop7.5/XenApp7.5では、配信作業の負荷軽減のため、ハイブリッドプロビジョニング機能を搭載した。Amazon Web Service(AWS)を活用する場合、従来はスクリプトを用意することで作業を軽減することを推奨していた。今回のバージョンでは、AWS、CloudPlatformベースのパブリック/プライベートクラウドでスクリプトやテンプレートを利用せずに、オンプレミスのXenDesktop7.5/XenApp7.5を利用している感覚でクラウド上に展開できる。短期間にリソース増強の必要があるなど、パブリッククラウドを利用する場合には有効な機能だ。なお、現行ではWindows Azureには対応していないが、今後対応することを予定している。
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モバイルエクスペリエンスを進化
今回、XenAppでもXenDesktopと同様のアーキテクチャである「FlexCast Management Architecture」を採用する。FlexCast Management Architectureは、1つのデリバリーコントローラーから、バージョンの異なるWindowsサーバや仮想デスクトップ、Windowsクライアントの仮想アプリケーションを配信することができる。
「管理者にとっては管理アーキテクチャが統一されたことで、全てのWindowsインスタンスを同一コントローラーで配信することができる。従来に比べると大幅な工数削減につながる」(竹内氏)
また、XenDesktop 7.5と同時にXenAppでもバージョン7.5をリリースすることで、モバイルデバイス向けのWindowsアプリケーション配信機能を強化した。モバイルデバイスへのWindowsアプリケーションの配信については、XenApp 7.5に「Citrix HDX Mobile」を搭載する。Windowsアプリケーションをモバイルデバイス向けに最適化表示する他、モバイルネットワークの変動性やパケット損失に的確に対処することでパフォーマンスを強化する。また、モバイルデバイス上のハードウェアアクセラレーションによってグラフィックスやマルチメディア処理能力を向上させる。さらに「HDX Mobile SDK」を活用すれば、モバイルデバイスのマルチタッチ式ジェスチャー、タッチパッドやダイレクトカーソル、慣性検知スクロール、ポップアップキーボード、カメラ、GPSなどをモバイルデバイスおよび仮想アプリケーション上で実行できる。
PCの電源がオフでもリモートPCアクセスが可能に
その他のアップデートとしては、XenDesktop 7.5にはリモートPCアクセスに「Wake−on−LAN」機能が追加された。PCの電源がオフ/サスペンド状態であっても、必要なときに自分のPCにアクセスすることができるようになった。
また、両製品のPlatinum Editionにはアプリケーション移行支援技術「Citrix AppDNA」の全機能が含まれる。Citrix AppDNAは、アプリケーションの互換性検証を自動化するソフトウェアだ。「仮想化環境への移行」「OSのバージョンアップ」「サービスパックの適用」などのプラットフォームの移行・変更を行う際に課題を解決し、作業を低減する。Windowsのサポート終了前に短期間でアプリケーションを仮想化する際、役に立つ機能だ。
モバイル環境への整備は今後も続く。シトリックスでは2014年1月に米Framehawkを買収。ネットワーク環境が悪い中でも高性能を発揮するテクノロジーを製品に取り入れることを計画している。「今回のXenDesktop7.5/XenApp7.5には反映されていないが、早ければ2014年後半にも取り入れられる見込みで、業務で利用するWindowsアプリケーションのモバイル利用環境が整うことになる」(竹内氏)
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