Wi-Fi要件の満足度
「IEEE 802.11ac」は当たり前、ならば無線LAN製品は何で選ぶ?
無線LAN製品の価格や速度が横並びになった今、企業は自社の要件にこだわって選ぶのが正解だ。
価格や速度は、無線LANベンダーを選択する決め手ではなくなっている。ITプロフェッショナルは、自社のWi-Fi要件を満たすインフラを探しており、多くのベンダーが製品展開においてこうした特定の市場セグメントへの対応に乗り出している。米調査会社Forrester Researchが2014年8月に発表した無線LANソリューションに関する「Forrester Wave」リポートで、そうした動向が明らかになった。
「われわれの調査で分かったことは、技術的な観点から見ると、多くのベンダーが全く同じものを扱っており、彼らが市場において、もはや技術では差別化していないということだ。彼らが提供する製品はいずれもIEEE 802.11acに対応しており、差別化は他の興味深い機能に委ねられている。その中には無線固有の機能ではないものも含まれる。モノのインターネット(IoT)をサポートできる機能がその一例だ」と、Forrester Researchのシニアアナリストで、このリポートを著したアンドレ・カインドネス氏は語る。
スケーラビリティと管理性は
「無線自体はありふれた技術であり、エンタープライズWi-Fiベンダー10社のうち9社は、企業が抱える問題を解決できるだろう」と、米システムインテグレーターのBedrocでソリューションエンジニアを務めるマシュー・ノーウッド氏は語る。「ベンダーの選択は一般論では語れない。個々の企業が具体的にどのような機能を必要としているかによる」
Forresterは無線LANソリューションに関するForrester Waveリポートで、無線LANベンダー上位10社の強みと弱みを明らかにしたが、ベンダーの総合ランキングは作成しなかった。代わりに、インタラクティブなベンダー比較ツールを用意し、ITプロフェッショナルが自業種における優先事項に応じてパラメータを設定すると、業種固有の要件に基づいてベンダーがランキングされたリストが得られるようにした。具体的には、アクセスポイントの制御方式(管理オプションがアプライアンスベースか、クラウドベースかなど)、BYOD(個人デバイスの業務利用)管理機能、位置ベースのサービス機能などのパラメータを設定できる。
「機器の802.11acアンテナの本数は、もうあまり重視していない。本数が多ければ良く思えるし、付加価値になるが、導入展開の大きな枠組みの中では、それが最優先されるべき機能にはならないだろう」と、Forresterのカインドネス氏は指摘する。
ハードウェアが差別化要素ではなくなってきているため、ほとんどのWi-Fi製品の購入判断はソフトウェア機能に左右されるようになり、重視する機能は業種や企業規模によって違ってくる。大規模環境を運用する組織には、高度な管理ソフトウェアが特に目を引くだろうと、米サウスフロリダ大学のネットワークエンジニアリング担当アソシエートディレクター、ジョー・ロジャーズ氏は語る。同大学では米Cisco Systemsと米Aruba NetworksのWi-Fi製品を使っている。「もし何もないところから環境構築を始めなければならないとしたら、現時点では無線LANソリューションは、管理機能に優れていて、ユーザーやデバイスについて多くの指標データを確認できるものが良さそうだ。802.11acの基本的なエンタープライズ機能は、それほど魅力的ではない」
無線LANへの要件は企業によって異なるだろうが、Forresterはこのリポートで、スケーラブルかつ共有型で、簡素化および標準化され、安全な製品を検討するようITプロフェッショナルに勧めている。
「われわれにとって常に問題になるのは、ユーザー規模の拡大だろう。通常、1学期ごとに約1000台ずつ新しいデバイスが加わるからだ。また、ベンダーには、キャパシティープランニングのためのリポート機能の改善にも力を入れてもらいたい」とロジャーズ氏は語る。
「パーティションで区切られた1人用ブースが並ぶ昔ながらのオフィスも、高密度の環境になっている。各従業員が複数の無線デバイスを使うようになり、無線LANが混雑してしまっている」と、あるグローバルメーカーでネットワークエンジニアを務めるジョナサン・デービス氏は語る。「非常に高密度の無線LANでも、きちんと通信ができると誰もが期待する。しかし、IT部門が同時に多数のデバイスを簡単に管理できる仕組みを、全てのベンダーが整備しているわけではない。サイト全体にわたって多くのコントローラーを分散設置しているときには、この仕組みが極めて重要だ。簡単に新しい要件に対応し、ポリシーを展開したり、パッチを配布したりすることができなければならない」
IoT時代の新たなWi-Fi要件
多くのITプロフェッショナルがIoTを念頭に置いているが、一部の業種(ヘルスケアや製造のような)は、従来はWi-Fiネットワーク上になかったデバイスをネットワークに接続することに関連する課題に直面しそうだ。Ciscoや米Motorola Mobilityなど一部のベンダーは、環境内で非伝統的なエンドポイントを特定するための高度な技術を開発していると、Forresterのカインドネス氏は語る。
前出Bedrocのノーウッド氏は、自社の環境に多数のデバイスが接続されたヘルスケア企業を顧客としている。IoTはこうした企業に大きなインパクトを与えることになる。「大規模なヘルスケアネットワークでは、全ての医療デバイスをサポートできる安全な無線LANに加え、車いすや救急カートといった資産を追跡するためのリアルタイム位置サービスが必要になる」(同氏)
「業種にかかわらず多くの企業が、狭い帯域を使用するセンサーや照明制御のようなデバイスを無線LANでサポートすることを迫られる。高速な環境は必ずしも必要としないものの、信頼できるネットワークアクセスが要求されるこうした資産をサポートし、管理する準備をしなければならない」と、デービス氏は語る。
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