容量単価だけで選ぶのは危険
AWS vs. Azure vs. Google、運用コストで選ぶ3大クラウドストレージ
米Amazon Web Services、米Microsoft、米Googleの3社はいずれも同じような価格でクラウドストレージを提供しているため、クラウドベンダーの選定では価格を最終的な判断基準とすべきではない。
クラウドベンダーの選定に際しては、ストレージ容量の価格で判断してはならない。
米調査会社Gartnerのリサーチディレクター、ワーナー・ザーカー氏によると、データストレージをクラウドに移行することによって経費を大幅に節減できる可能性があるが、パブリッククラウドの大手ベンダーが提供する「Amazon Web Services」(AWS)、「Microsoft Azure」(Azure)および「Google Cloud Platform」(GCP)の間では、容量当たりの価格差がほとんどないという。
Gartnerは2014年12月初めに、米ラスベガスでデータセンター、インフラストラクチャ、運用管理に関するカンファレンス「Gartner Data Center, Infrastructure & Operations Management Conference」を開催した。
「各ベンダーの製品にはそれぞれ長所と短所があり、飛び抜けて優れた製品というのはないが、運用コストおよび利用形態の違いなども判断基準になるだろう」とザーカー氏は付け加える。
同氏によると、運用コストにはトランザクション料金や管理費用などが含まれ、容量当たりのコストと比べると、各ベンダー間ではるかに大きな差が見られるという。例えば、1Tバイト当たり月額10ドルという最も低価格のストレージサービスである「Amazon Glacier」の場合、1Tバイトをダウンロードするのに120ドルの料金が掛かる。
米国三菱電機の技術マネジャーを務めるバーゲーセ・クリアコセ氏によると、同社ではクラウドサービスの利用に向けてベンダーを選定中だという。
「1年前に『どのベンダーを選ぶのか』と聞かれていたら、即座に米Amazon Web Services(Amazon)と答えていただろう。だが今ではAmazonか、それともMicrosoftにするかGoogleか、選択が非常に難しくなってきた」とクリアコセ氏は話す。
「ストレージだけが必要なのであればAmazonということになるだろう。だがホスティングサービスも必要であればGoogleの方が良さそうだ。ストレージとホスティングを1つのベンダーに任せられるからだ」(同氏)
クラウドストレージで最も一般的な形態はオブジェクトストレージであり、これは通常、HTTPを使ってアクセスする。オブジェクトストレージは、ブロックストレージやファイルストレージよりもはるかに拡張性が高い。
「どのストレージベンダーも飛び抜けて優れているわけではないため、ストレージと連係することによって業務を効率化できる他のクラウドサービスも考慮に入れて選択すべきだ」とザーカー氏はアドバイスする。
「関連サービスを提供していないストレージプロバイダーを選んではならない。プロバイダーのエコシステムおよびソフトウェアのエコシステムは、クラウド導入計画全体の一部であると考えるべきだ」(同氏)
クラウドストレージの選定基準
ザーカー氏によると、クラウドストレージの導入に際しては、検討すべき問題が幾つかあるという。具体的には、耐久性、可用性、パフォーマンス、容量当たりのコスト、モニタリング、アクセス、ライフサイクル管理などだ。IT担当者は、クラウドストレージに関するベンダーの宣伝文句を受け入れる前に、自社のニーズを把握する必要がある。
AWSは、米NetAppや米PanzuraといったパートナーやISV(独立系ソフトウェアベンダー)のインテグレーター、米Equinixなどのネットワークプロバイダーを最も多く抱えている。
「市場に参入するのが遅れたGoogleは低価格を売り物にしているが、ブランド認知という点ではいま一歩だ。一方、『Amazon Simple Storage Service』(Amazon S3)は、現時点でほぼ業界標準になっている」とザーカー氏は語る。Microsoftはクラウドストレージと同社の既存のフロントエンド管理ソリューションの連係を改善した。
アップタイム保証で差別化を狙っているベンダーもある。ザーカー氏によると、Microsoftは「Geo Redundant Storage」で99.99%のアップタイムを保証しているが、失われたデータは回復できず、ユーザーはダウンタイムに相当するクレジット(割引請求権)を受け取れるだけだという。「IT部門が社内保管データで採用している慣行は、全てクラウドにも引き継げるようにすべきだ」と同氏は付け加える。
ザーカー氏によると、クラウドストレージは社内ストレージよりもはるかに安価に運用できる可能性があるが、考慮すべき問題は他にもあるという。各社のサービスがAmazon Glacierを見習い、データを格納するときよりもデータを引き出すときに大きな費用が掛かる方式になる可能性もある。またベンダー各社は、自社のマシンに保管されているデータに何が起きても責任を負えないことを明示している。
「データが失われても自己責任というわけだ」とザーカー氏は話す。
さらに、自社のデータを外部に委託することも企業にとっての懸念材料だ。「Amazonなどのクラウドベンダーの施設は、ほとんどの企業の社内データセンターよりもセキュリティが優れていると思われるが、それでもなかなか受け入れられない人もいる」と話すのは、米Church of Jesus Christ of Latter-day Saints(モルモン教会)でサーバとストレージを担当するソリューションマネジャーのスティーブ・ロイス氏だ。
ロイス氏の組織ではAmazon S3を部分的に利用しており、クラウドストレージへの移行を今後さらに進める可能性もあるという。
「私はとても満足しているが、企業はまだためらっている。『自社のストレージであれば勝手が分かっているので、Amazonよりもきちんとデータを管理できるだろう』と思っているからだ」(同氏)
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