「タブレットでVDIは使いにくい」という企業へ
Windowsアプリの見た目を“iPadアプリ風”に変える新技術が登場
タブレットからWindowsアプリを利用する手段に、VDIなどの画面転送技術がある。ただし、単にWindowsアプリの画面を転送しても快適に使えるわけではない。この課題を解消するのが「アプリ変換」だ。
現時点で仮想デスクトップインフラ(VDI)が問題なく機能し、あらゆる希望が実現されているとしたら、次はどんなことを望むだろうか。
VDIの革新についてご存じの読者は少なくないだろう。たった数年前に問題となっていたVDIの多くの欠陥は、現在のテクノロジーで解決できるようになってきた。これを踏まえて、次の大きなトレンドについて考えてみよう。
VDIの次のトレンド
次の大きなトレンドは、アプリケーションの変換だ。端的にいうと、デスクトップPC用にデザインされたアプリのユーザーインタフェース(UI)を再編成して、タブレットで使えるようにすることである。
アプリ変換の重要性を理解するために、1歩離れて見てみよう。ほとんどの企業がデスクトップPCで米Microsoftの「Windows」を利用している。企業では、20年以上もの歴史があるWindowsデスクトップアプリに依存する体制が出来上がっている。
米Citrix Systemsの「WinFrame(現Citrix XenApp)」やMicrosoftの「ターミナルサービス(現リモートデスクトップサービス)」など、VDIの前身に当たる製品/技術は人気を博した。既存のWindowsデスクトップアプリを任意のOS環境に導入できるからだ。現在でもこうした製品/技術を使えば、米Appleの「OS X」を搭載した端末でWindowsデスクトップアプリを使用するといったことが可能になる。
iPadにまつわるWindowsの問題
米Appleのタブレット「iPad」が2010年に一世を風靡したとき、デスクトップ仮想化ベンダーはiPad対応のVDIクライアントを開発した。その理由は、企業がiPadでWindowsデスクトップアプリを使用したいと考えていたからではない。ユーザーはiPadを使用することを望んでいるが、全ての業務アプリはWindowsデスクトップアプリだったからだ。
企業はこの状況下で、2つの選択肢を特定した。1つは20年もの歴史があるデスクトップアプリをiPadアプリへ変換すること。もう1つは、ユーザーが好むiPadで既存のWindowsデスクトップアプリを使用できるようにする方法を探すことだった。
ただ、WindowsデスクトップアプリをiPad対応のアプリに変換するには、何百万ドルものコストが掛かり、年単位の作業になるのは明らかだった。一方、VDIを導入し、Windowsデスクトップアプリを備えたWindowsデスクトップをiPadに配信する作業は、比較的安価かつ迅速に実現することができた。
VDIのパフォーマンスはiPadでも問題ない。だからといって、iPadでWindowsデスクトップアプリが使いやすいことにはならない。問題はVDIにはない。Windowsデスクトップアプリが、デスクトップ端末で使用することを念頭にデザインされていることにある。
デスクトップPCは、1つ以上の大きなディスプレー、フルキーボード、精巧なポインティングデバイスを搭載する。一方、iPadには1つの小さな画面しかない。キーボードに至ってはソフトウェアキーボードなので、キーボードを表示すると貴重な画面領域がさらに小さくなる。また、ユーザーの指先がポインティングデバイスの役割を果たすので、その精度はせいぜい0.5インチ(1.27センチ)がいいところだろう。
画面サイズに応じてレイアウトを変えたりする「レスポンシブデザイン」を採用すれば、この問題を適切に解決できる。スマートフォン、タブレット、ノートPCから同じWebサイトへアクセスしたときに、3つの異なるUIを表示できるからだ。デスクトップPCでは、フルサイズのサイドバーメニューを表示し、スマートフォンでは画面隅にメニューアイコンを表示しているかもしれない。このアイコンは、タップすると全画面のメニューが表示される。
WebアプリではUIが「CSS」と「JavaScript」で定義されているので、レスポンシブデザインが可能になる。残念ながらWindowsデスクトップアプリでは、そのような分離は不可能だ。ここで役に立つのがアプリの変換である。
Windowsアプリの変換
Windowsベースアプリの変換テクノロジーを使用すると、既存のWindowsデスクトップアプリのUIを変換できる。IT部門は作成したUIを、モバイル端末での使い勝手を良くする目的でWindowsアプリに実装する。これらのツールはWindowsベースのサーバで稼働し、UIの変換はアプリの実行時に実施する。そのプロセスを通じてアプリは一切変更されず、IT部門がアプリのソースコードにアクセスする必要もない。
IT担当者は「ビジュアルデザイナー」を使用して、アプリの新しいUIを作成できる。ビジュアルデザイナーには、ボタンやメニューなど新しいUIのコンポーネントを、アプリの既存パーツと関連付けるビジュアルツールが備わる。
アプリ変換が素晴らしいのは、元のWindowsアプリが、VDIや「リモートデスクトップセッションホスト」(リモートデスクトップサービスの中核システム)で依然として実行されることだ。セキュリティやプラグインなど、必要なものは全て完備している。アプリの変換ツールは単純にUIを取り込み、顧客が作成した変換プロファイルを適用し、新しい仮想デスクトップインタフェースを元のインタフェースの代わりにユーザーに送信する。
アプリ変換は新しい概念である。だが米PowWowや米Caprizaなどのベンダーが興味深いツールを既に開発している。また、Citrixと米VMwareは、アプリの変換に関心を示しつつある。
UIを変換したアプリの操作性は、純粋なモバイルアプリに匹敵するわけではない。だが数年ではなく数日という短時間で、既存のWindowsデスクトップアプリのモバイルフレンドリー版を作成できるのは大きな利点だ。アプリ変換は、VDI環境とリモートWindows環境で十分な価値を提供するだろう。
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