医療IT最新トピック
Appleの医療研究用アプリ開発ツール「ResearchKit」で医療現場はどう変わる
米Appleがついに一般公開した医療研究用アプリ開発ツール「ResearchKit」は、医療の未来をどう変えるのか。医療IT関連の最新トピックを紹介します。
「IT化が他分野より10年遅れている」ともいわれる医療業界だが、関連技術や製品、サービスは日々進化している。医療IT関連の動向を紹介する「医療IT最新トピック」。今回は、米Appleが一般公開した医療研究用アプリ開発ツール「ResearchKit」、ソネットの在宅ケア連携支援システムの新版、GEヘルスケア・ジャパンの2015年成長戦略、クリニックの来院患者数向上を支援するパッケージサービス、英語・中国でも医薬品の説明書を印刷できるソフトウェアなどを取り上げる。
トピック一覧
- ソネット、在宅ケア連携支援システムの新バージョンを提供開始
- GEヘルスケア・ジャパン、日本発の製品開発に注力する2015年成長戦略を発表
- 医療ビッグデータの解析事業に特化した子会社を設立、UBIC
- 医療介護連携SNSと介護保険業務管理ソフトが連係、日本エンブレース
- 英語や中国語でも医薬品の説明書を印刷してくれる「お薬プリントリンガル」、ズー
- Apple、医学研究者に対して研究アプリ開発ツール「ResearchKit」を提供開始
- クリニックの来院患者数向上を支援するパッケージサービス、メディ・ウェブ
- 歯科医院の患者管理業務支援サービスを提供開始、ナルコーム
- 健康保険組合・企業向けデータ分析・コンサルティングサービスで協業、日立システムズら
ソネット、在宅ケア連携支援システムの新バージョンを提供開始
ソネットがクラウド型在宅ケア連携支援システムの新バージョン「bmic-ZR Ver2.0」(bmic-ZR)を2015年4月28日に提供開始する。bmic-ZRは、在宅ケア業務の記録データを管理する「在宅ケア業務支援アプリケーション」、多職種連携間での対応依頼や指示、連絡事項を共有する「多職種連携ビューワー」で構成される。今回のバージョンでは既存機能の改善や新機能の追加などを行った。初期費用は1万5000円から、月額費用は5000円から(いずれも税別。利用者ログイン用のICカードが別途必要)。
bmic-ZR Ver2.0では、在宅ケア業務支援アプリケーションの画面デザインを変更し、記録入力や情報閲覧などの操作性を改良。ケアチーム関係者間で患者ごとの情報を一覧表示できる「ケアチーム関係者一覧」機能、ケア記録入力時に使用する定型文を編集できる「ケア記録 定型文管理機能」などを実装した。また、患者の家族などからのメッセージを連絡板と申し送りに反映する「メッセージポスト」機能を追加。さらに、ケアチーム内での情報共有を行う「連絡板」機能をスマートフォンやタブレットでも利用できるようにした。2015年5月には従来のAndroid端末に加えて、iOS端末でも利用可能にする(発表:ソネット<2015年4月8日>)。
GEヘルスケア・ジャパン、日本発の製品開発に注力する2015年成長戦略を発表
GEヘルスケア・ジャパンは2015年4月9日、報道機関向けに2015年成長戦略発表会を開催した。同社の代表取締役社長 兼 CEOの川上 潤氏は、中期的成長戦略として2010年から進めている、高齢者のQOL(Quality Of Life)向上を支援する取り組みである「Silver to Gold」戦略の加速を挙げた。特に「2015年はYear of MR」と述べ、日本市場から世界に発信する「IJFG(In Japan for Global)戦略」においてMRI(磁気共鳴断層撮影装置)製品に注力すると説明した。
戦略の一環としてGEヘルスケア・ジャパンは同日、3.0T(テスラ)のMRIの新機種「SIGNA Pioneer」を販売開始した。SIGNA Pioneerの設置面積は29平方メートルで、1.5T機器とほぼ同等の面積に設置できる。同社によると、3.0T機器の中では最小サイズで、消費電力も一般的な3.0T機器と比べて最大50%削減できるという。また、画像再構築ソフトウェア「MAGiC」を搭載。1回のスキャンで複数画像を取得することで撮影時間を一般的な3.0T機器と比べて3分の1まで短縮可能にした。さらに従来機器と比べてテーブル高を低く、幅を広くする設計を取り、検査時の音を抑える技術「SILENT SCAN」を搭載するなど、高齢者や小児患者などに配慮したという(発表:GEヘルスケア・ジャパン<2015年4月9日>)。
医療ビッグデータの解析事業に特化した子会社を設立、UBIC
行動情報データ解析を支援するUBICは、医療分野に特化した解析事業を展開する子会社「UBIC MEDICAL」を設立して2015年4月16日に業務を開始した。治験情報解析や院内環境改善支援データ解析、薬剤監視サービスなどを提供する。UBICはUBIC MEDICALの設立で、自社の人工知能エンジンによって大量のデータを解析し、医療活動の向上や効率化を図りたい医療機関や民間企業をサポートする(発表:UBIC<2015年4月10日>)。
医療介護連携SNSと介護保険業務管理ソフトが連係、日本エンブレース
医療・介護専用コミュニケーション支援事業を展開する日本エンブレースは2015年4月13日、同社の「メディカルケアステーション(MCS)」とビーシステムが提供する介護保険業務管理システム「ファーストケア」とのシステム連係を発表した。日本エンブレースはMCSと連係するAPI(MCS-API)をパートナー企業向けに提供。今回、ファーストケアの無料版「ファーストケアHoney」とのシステム接続を可能にした。システム接続により、介護保険請求管理、請求データ処理や各種サービス計画、予定実績管理、介護・看護のケア記録などの機能をMCS経由で利用できるようにした(発表:日本エンブレース<2015年4月13日>)。
英語や中国語でも医薬品の説明書を印刷してくれる「お薬プリントリンガル」、ズー
医療関連システムの開発を手掛けるズーは、日本語や英語、中国語で医薬品の説明書を発行するソフトウェア「お薬プリントリンガル」を販売開始した。お薬プリントリンガルは、城西国際大学薬学部医療薬学科 山村重雄教授と共同開発。ズーが運営する医療用医薬品約2万品目、OTC(一般)医薬品約1万品目などの情報を搭載するデータベースを活用する(関連記事:症状に合った最適な市販薬が分かるアプリ「ANZOO」で薬選びが変わる)。日本語と併記で、英語や中国語で薬効(効能効果)や用法、用量、服薬時の注意などを記載した説明書を印刷できる。「Windows7」以降が対象で、医薬品情報の更新にはインターネット接続が必要。1ライセンス当たり2万5000円(税別)で専用Webサイトからダウンロードできる。
OTC医薬品向けの添付文書には「使用上の注意」の内容をイラストで表示し、要指導医薬品や第一類医薬品、乱用のおそれのある医薬品にはリスク区分を表示する。ズーではドラッグストアや調剤薬局、免税店、OTC医薬品を取り扱うコンビニエンスストアなどでの利用を想定する(発表:ズー<2015年3月27日>)。
Apple、医学研究者に対して研究アプリ開発ツール「ResearchKit」を提供開始
米Appleは2015年4月14日(現地時間)、医療・健康の研究調査用ソフトウェアフレームワーク「ResearchKit」を研究者や開発者向けに提供開始した。ResearchKitは、同意した参加者が持つスマートフォン「iPhone」に内蔵されている加速度センサーや気圧計、GPS、ジャイロスコープ(物体の向きや角速度を検出する計測器)などから、医療・健康に関するデータを収集して調査研究に役立てる仕組みを提供する。アプリ開発者はResearchKitを使って独自のアプリケーションを開発したり、新しい研究モジュールをオープンソースフレームワークに提供したりできる。
2015年3月に発表されたResearchKitは、既に一部の研究機関における研究用アプリ開発に利用されている。Appleによると、ResearchKitを使ってぜんそくや乳がん、心臓血管疾患、糖尿病、パーキンソン病を研究するアプリが既に開発されているという。「iOS 8」に搭載する健康データ管理用ソフトウェアフレームワーク「HealthKit」と連動し、健康/フィットネス関連アプリとの相互通信も可能だ。Appleは「App Store」で提供開始後の最初の数週間で6万人以上のiPhoneユーザーが参加登録したと公表している(発表:Apple<2015年4月14日>)。
クリニックの来院患者数向上を支援するパッケージサービス、メディ・ウェブ
医療向けクラウドサービス開発のメディ・ウェブが、増患サポート診療予約システム「予約Suite」の提供を開始した。予約Suiteは、同社の既存サービス「Bee診察予約」「Bee診察順番表示」「Bee次回受診目安票」の3種をパッケージ化した製品だ(関連記事:4つの診療業務支援ツールを利用できる無料Webサービス「3Bees」)。同社によると、現状の予約状況から患者数の少ない曜日や時間帯に予約を設定するよう患者を誘導し、利用クリニックのキャパシティー内で来院患者数を平準化できるように支援するという。月額費用は1万3000円から(発表:メディ・ウェブ<2015年4月15日>)。
歯科医院の患者管理業務支援サービスを提供開始、ナルコーム
歯科用医療機器・ソフトウェア開発などを手掛けるナルコームは、歯科医院向けコミュニケーションソフトの新バージョン「達人プラス Version6」を2015年4月21日に提供開始した。達人プラスは、歯科医療における口腔内写真などの画像データやプロービングなどの検査データの管理、自由診療時の見積書作成といった患者管理業務を支援するソフトウェア。新バージョンではユーザーインタフェースを刷新し、画像処理を従来比で最大4倍高速化。また、パッケージソフト提供からSaaS(Software as a Service)方式に変更し、月額8000円で利用可能にした。Windows 7以降で動作する(発表:ナルコーム<2015年4月16日>)。
健康保険組合・企業向けデータ分析・コンサルティングサービスで協業、日立システムズら
日立システムズと産業医科大学 ヘルスマネジメントシステム有限責任事業組合、YOSSは2015年4月17日、健康保険組合や企業に向けたレセプト(診療報酬明細書)や健康診断データの分析・コンサルティングサービスでの協業を開始した。レセプトデータの分析や加工、健康増進施策における最適なPDCAサイクル実施、人材育成などの支援サービスの提供を目的とする。産業医科大学 ヘルスマネジメントシステム有限責任事業組合の労働者の健康増進における専門知見やノウハウを活用し、YOSSがレセプトデータの加工技術を提供、日立システムズがITシステム構築やクラウド基盤の提供を担う。具体的なサービスは2015年6月までに公開する(発表:日立システムズ、産業医科大学 ヘルスマネジメントシステム有限責任事業組合、YOSS<2015年4月17日>)。
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