注目機能を徹底比較
iOS 8 vs. Android 5.0、セキュリティ機能の差は本当に縮まったか?
米GoogleのモバイルOS「Android」のセキュリティは、米Appleの「iOS」との差を縮めつつあるものの、マルウェアや企業データ損失への対応ではまだiOSより脆弱だ。
モバイルを活用する企業のIT部門にとって、モバイルOSのセキュリティは最優先事項であり、AppleもGoogleも、それぞれ最新バージョンのモバイルOSでデータ保護の強化に力を入れている。
Appleの「iOS 8」がより包括的なセキュリティ対策を講じているのに対し、「Android 5.0」は、新たな「Android for Work」プログラムによってマルウェアへの対策と企業データの保護を改善している。マルウェア対策やデータ保護、アプリケーション連係などの観点で、この2大モバイルOSのセキュリティを比較してみよう。
「Acer Chromebook C720」、読者プレゼント実施中!
TechTargetジャパンは、IT活用を積極的に進める教育者チーム「iTeachers」の取り組みを中心に、先駆的なIT活用事例を集約したテーマサイト「教育ITの先駆者集団『iTeachers』に学ぶ 学校IT活用の極意」を開設しました。
本テーマサイトの開設を記念して、広尾学園中学校・高等学校でも導入実績がある、日本エイサーのChromebook「Acer Chromebook C720」(レビュー記事:徹底レビュー:「Chromebook」を使って感じた驚きの安さと、意外な実用性)を抽選でプレゼントします。
Appleのクローズドなプラットフォーム
Appleはクローズドなプラットフォームセキュリティアプローチを取ることで、iOS端末を堅固にしている。Apple公式アプリストア「App Store」は厳重に監視されており、マルウェアは発行前に検出されて却下される。iOS端末は、Jailbreak(脱獄)しない限り、Appleの認定を受けたアプリしか実行が許されない。
Appleはまた、サンドボックスによってアプリのデータ共有を阻止している。iOS 8ではコンテンツ共有を可能にするAPIが新たに導入されたが、共有コンテンツへのアクセスには依然としてiOSが介在するため、アプリ側で単純に共有ストレージの読み取りと書き込みができるということではない。iOSが多少は開放的になったといっても、Androidとは格段の差がある。今回の譲歩でサードパーティー製アプリをより有効に活用できるようになったが、マルウェアに門戸を開け放ったわけではない。
一方のAndroidは、従来ずっとマルウェアの標的になっている。Android公式アプリストア「Google Play」の制約が緩いことも一因ではあるが、Android向けマルウェアの大半は非公式のサードパーティーアプリストアから広まっている。Android端末では、サイドローディング(公式アプリストア以外からアプリをインストールすること)を許可する設定を1つ切り替えるだけで、非公式ストアのアプリも簡単に実行できてしまう。Androidアプリもサンドボックスで保護されるが、ファイルの共有は可能であり、リムーバブルメディアなど、マルウェアが含まれている可能性の高いファイルにもアクセスできる。
GoogleはGoogle Playストアの改善に取り組んでおり、新しくレーティングシステムを追加した他、Google PlayからOSの修正プログラムを配信できるようにした。Android 5.0には「SE Linux」を導入し、権限昇格攻撃(データやアプリ、ネットワークへのアクセス許可を不正に昇格させる攻撃)に対するOSの監視を強化した。また、Android for Workでは、IT管理者が従業員のサイドローディングを阻止したり、会社で許可されているアプリしかインストールできないようにしたりすることができる。
これらの改善はマルウェアの脅威の軽減には役立つが、端末が侵害された場合もAndroid for Workは頼りになるのだろうか。企業のIT管理者がAndroidのマルウェア対策改良の有効性を検証するには、時間と経験が必要になる。
Android for Workによるデータ保護の強化
多くの企業の関心は、端末を管理することから企業データを保護することへと移ってきている。私物端末の業務利用では特に、データが外部に流れないようにすることが重要になる。モバイル端末を紛失したり、盗まれたり、悪用されたりした場合に企業データを保護する対策は必須だ。
iOSとAndroidのどちらも、IT担当者が設定して強制するセキュリティポリシーによって、PINやパスワードを必須としたり、リモート検索やリモートワイプを有効にしたり、仮想プライベートネットワーク(VPN)によるデータ送信保護を必須としたりすることができる。ただし、この2つのOSには根本的な違いがある。2009年以降に製造された「iPhone」および「iPad」ではハードウェアベースのAES-256ビット暗号化がサポートされており、エンドユーザーがこれを無効にすることはできない。
Android 5.0ではハードウェアベースのAES-128ビット暗号化がサポートされているが、Androidで動作する端末の多くは暗号化をサポートしていない。また、Android 5.0にアップグレードした上で暗号化した端末も、ファクトリーデータリセットで出荷時状態に初期化すれば非暗号化状態に戻すことができる。Android for Workでは、企業データの保護にセキュアコンテナを利用しているが、これは暗号化されている端末にしか対応していない。
また、iOSとAndroidの両方で、管理対象端末のアプリ間のデータの流れをIT管理者が制御できるという点も重要だ。Appleが「iOS 7」から導入した「Managed Open In」機能では、IT管理者が許可するアプリのみで対象データを共有でき、それ以外のアプリからはアクセスできないようにすることができる。iOS 8では、Managed Open Inに指定できるコンテンツとアプリの種類が拡大されるとともに、管理者に与えられる「iCloud」バックアップへの可視性(および管理性)が強化されて、iCloudにコピーできるデータを制限できるようになった。一方、Android for Workでは、管理対象アプリ間のデータの流れをIT管理者が制御することはできるが、管理対象外のアプリからのデータのコピーやGoogleクラウドストレージとのデータ同期を阻止することはできない。
Androidは、オープンプラットフォームであることや、対応端末モデルが多数あることに起因するセキュリティ上の課題が残るものの、iOS 8のセキュリティがAndroid 5.0よりはるか先を行っているわけではない。AppleもGoogleも、企業においてモビリティとセキュリティがいかに密接な関係にあるかに気付いてきたようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[フォーティネットジャパン合同会社] 複雑化しがちな「SASE運用」 IT・医療・金融などの事例に見る導入成功の秘訣 -
製品資料
[フォーティネットジャパン合同会社] 「SD-WAN」導入で失敗しないための5つの重要事項 -
技術文書・技術解説
[フォーティネットジャパン合同会社] VPNの代替候補「ZTNA」を理解できるようになる“3大要素”とは? -
事例
[フォーティネットジャパン合同会社] すぐ分かる「SD-WAN」選定のポイント 成功企業はどんな成果を出した? -
製品資料
[SCSK株式会社] 「Dropbox」管理・運用の困りごと解決ガイド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
3
みずほ証券が「液冷サーバ」を採用 1日3.6億件の計算を支えるための要件
-
4
Microsoft月例パッチ1400件超で過去最多 「限界点」を迎えたパッチ管理
-
5
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
6
いまIBM iエンジニアが直面する「5つの技術的課題」とその解決策
-
7
Microsoft 365の「テナント統合・分離」問題 手戻りのない道を選ぶ秘訣とは?
-
8
「身代金を支払う」以外のランサムウェア対策は本当にあるのか?
-
9
SAP導入後も残る“Excel依存” 京急電鉄は「kintone」でどう解消した?
-
10
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー