商品管理から売れる陳列、盗難防止まで
導電性インク活用の「スマートシェルフ」が小売店舗のIoTを加速する(1/2 ページ)
導電性インクの適用は、小売業者が商品棚にある商品の管理、販売と商品配置の関連付け、窃盗に対する警告を行うのに役立つ。
小売業者はバーコードスキャンとRFID(非接触型ID)のおかげで、ケースやパッケージに入った製品が店舗に搬入されたり、製品がレジを通過したりするタイミングを知ることができる。とはいうものの、店舗内でも無線が一時的に途絶えることは珍しくない。その場合、マネジャーはビデオか肉眼で状況を確認するしかない。だが、これはどちらもコストの掛かる選択肢だ。
さまざまな応用例
これらの対処法が抱える明確な問題の1つに、窃盗などによる在庫の減少の説明責任がある。できれば、窃盗の防止も実現したいところだろう。また、それほど大きな問題ではないが、パウンドケーキがイチゴの隣に陳列しているときと他の焼き菓子の袋と一緒に通路脇に陳列しているときでは、どちらが良く売れるのかを把握できる。それから、特定の場所で在庫が少なくなったり、欠品に近い状態になったりしたことも把握できる。
電荷を感知して伝導する導電性インクの新たな応用法によって、この小売業者が抱える穴を埋めることができる。試しにこのインクを特許で認められた配合でセンサーにプリントしてみた。そのセンサーは特定の棚を監視して、棚から取り出された商品をリアルタイムで報告する。米ニューヨークに本拠地を置き、創業11年目を迎えるT+inkは、この導電性インクと関連ソフトウェア部分を提供している。同社はマーケティングの主軸を小売業者向けアプリケーションに置くことを決定している。2016年の第4四半期に「Smart Shelf」と「Smart Peg」をリリースする予定だ。
インクより安価なものはあるのか
ビーコンは顧客のスマートフォンを検知して特定できる。デバイス上のアプリとの通信は可能だが、店内の商品を見守る目的には使われていない。T+inkのCEOを務めるトリスタン・ルイス氏はその理由の1つとして、ビーコンが非常に高価であることを指摘し、「インクより安価なものはあるのだろうか」と述べる。確かに、Bluetoothなどの無線リンクも比較的高価な上、全てのデバイスに対応しているわけではない。
T+inkのSmart Shelfは、在庫の動きとマネジャーのAppleの「iPad」やスマートフォンをつなぐ。10秒ごとに商品棚をポーリングして、IntelベースのゲートウェイアプライアンスとT+inkのクラウドアプリケーションを通じて報告を行う。このベンチャー事業のパートナーとして、ボール紙製のディスプレイとパッケージメーカーのWestRockも参加している。
ルイス氏によれば、小売業者は膨大な量の日々のデータを得られ、潜在的な利益を生み出す格好のターゲットだという。店舗内の場所ごとに商品の売れ行きを比較してみることで、通路端の目立つ配置スペースを確保するために、高級ブランドがスーパーに追加代金を支払う価値があるかどうかを示すことができる。これは同じチェーンでも地域によって異なる。「ニューヨークの北東部では総菜コーナーが商品を売るのに最適だが、南部では通路端が最も売れる」とルイス氏は指摘する。
さらに、店舗がメーカーと約束した通り、実際に特定の棚のスペースを商品が占めているかどうかなど、“商品配置のコンプライアンス”も確立できる。
T+inkのアプリは非常に賢い。プリントされた棚の上敷きでの重量分布や底面の形から、コーラの銘柄を区別できる。ルイス氏は次のように明かしている。「The Coca-Cola Companyの『Coke Cola』とPepsi-Colaの『Pepsi』のボトルの底は、肉眼だと同じように見える。だが、この2つは製造される生産ラインが異なり、各ブランドはボトルの土台にそれぞれ独自の知的所有権を持っている。それを使用することで、どの製品が棚に陳列されているのかを把握できる」
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