「Open19」は「Open Compute Project」とどう違うか
Facebookの後追いではない? LinkedInが“データセンターOSS化”に挑む真の理由(1/2 ページ)
ビジネス向けSNSのLinkedInが、データセンター向けハードウェアの標準化を目指すプロジェクトを開始した。同様の目標を掲げるFacebook主導の「Open Compute Project」とは何が違うのか。
大規模データセンター向けのハードウェア仕様や設計図をオープンソースとして開発するプロジェクト「Open Compute Project」には手を出しにくい企業もあるだろう。先日、規模の大小を問わずあらゆるデータセンターをターゲットに据えたハードウェアの標準化を目指す新たなプロジェクトが始動した。このプロジェクトが順調に支持を集めれば、今後、“大衆版”のハードウェア仕様が身近な企業のデータセンターに採用されることになるかもしれない。
併せて読みたいお勧め記事
Facebook主導の「Open Compute Project」のインパクト
- “無印”サーバ vs. 有名ブランドサーバ、これから買うならどっち?
- Facebook主導の「Open Compute Project」、データセンター大手が続々支持
- Facebookによる“ハードウェア設計のオープンソース化”は成功するか?
Open Compute Projectで脚光の「ベアメタルスイッチ」とは
新プロジェクト「Open19」とは
ビジネス特化型ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を提供するLinkedInは2016年7月、「Open19」というプロジェクトを発表した。その目標は、データセンターで利用する一般的なラック向けに、相互運用性と相互交換性を発揮するストレージやネットワーク、サーバ製品を開発すべく、よりシンプルなオープン標準を提供することだという。一般的なラックを使えるようにすることで、他の取り組みよりもはるかに広い層へのアピールを目指す。
Open19プロジェクトは、米国電子工業会(EIA)が策定した標準仕様に準拠する19インチのラック向けに、どのような冷却/電源環境でも動作するサーバと関連機器の開発を促すことだ。サーバを複数のベンダーから選び、1つのラック内で相互運用できるので、ベンダーによるロックイン(囲い込み)を回避できる。このプロジェクトには既に、Hewlett Packard Enterprise(HPE)やHyve Solutions、Mellanox Technologies、Wiwynnなどのベンダーが参加している。
ネットワーク管理ベンダー6connectで共同創業者兼最高執行責任者(COO)を務めるピート・スクラファニ氏は、ベンダー間の相互運用性を確保するOpen19プロジェクトの方針からは「データセンター運用に関する小規模企業ならではの課題が見て取れる」と語る。Open19プロジェクトではラック内の共用機器を半分に減らす他、サーバごとの電源供給装置を不要にし、代わりに12Vの直流給電を確保する。
「Open19準拠のハードウェアであれば、インフラを変更せずに新しい技術やシステム要素を追加できる。どれも同一のフォームファクター(形状/仕様)にフィットするからだ」とスクラファニ氏は語る。さらにLinkedInのような大手企業によるサポートは、フィードバックの一元管理を可能にし、ハードウェアの改善を後押しする。
LinkedInでグローバルインフラストラクチャアーキテクチャおよび戦略担当主任エンジニアを務めるユバル・バシャル氏によれば、Open19のアイデアが生まれたのは、LinkedInがデータセンターで運用するサーバの台数が、数万台規模から数十万台規模へと変わったことがきっかけだったという。
その際、LinkedInは2つの問題に直面した。1つ目は、複数ベンダーの製品/技術を従来の10~50倍の規模で、より迅速に組み合わせなければならないこと。もう1つは、16サーバ程度の最小規模の環境から、オレゴン州ヒルズボロに新設した最大消費電力8Mワット規模の大規模データセンターまで、さまざまな規模の環境に耐える共通設計を見つけることだった。
「データセンター市場には複数のオープン標準が共存する余地がある。ただし何かしら明確なメリットを示さなければならない」。そう指摘するのは、マネージドデータセンターサービスを手掛けるExpedientで品質保証と戦略的構想を担当する副社長のジョナサン・ローゼンソン氏だ。
ローゼンソン氏は、データセンター向けハードウェアの新たなオープン標準に対して懐疑的な見方が出る可能性を認める。Open19は、LinkedInの他には限られた数の企業にしか適用されないかもしれないというのが、同氏の見方だ。
採用拡大の鍵を握るのは、ワークロードを管理するソフトウェアだという。「19インチのフォームファクターをベースとするOpen19の仕様が完成すれば、クラウドエッジデータセンターで採用が広がるのは確実だ」とローゼンソン氏は指摘する。
調査会社451 Researchの調査ディレクター、ピーター・クリスティ氏によれば、共通のフォームファクターに基づくデータセンターハードウェア設計を実現するだけでは、パブリッククラウドの効率性に匹敵あるいは上回るための戦いはまだ道半ばだ。「パブリッククラウドと同等レベルで、かつ十分に差別化したソフトウェアを提供し、運用する方法を見つけなければならない」と同氏は語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
4
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
5
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
6
「IT運用・情報システム業務」に関するアンケート
-
7
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
8
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
9
AI導入が失敗する“真犯人”は現場のマニュアル 7割が陥る「標準化」のわな
-
10
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー