調査で浮かび上がった懸念事項
急成長のIoT市場、野心的なベンダーがはまりそうな5つの落とし穴
IoT関連市場は、2020年までに4500億ドルを超える規模になると見込まれている。本稿ではIoTベンダーとIoT導入を検討する企業の調査から、今後の問題点を探った。
さまざまな業界の企業がIoTに参入する機会をうかがいながら、その方法を模索している。利幅を増やす上質な製品を生み出すチャンスをIoTに見いだしている企業もあれば、IoTが生産性を高める手助けになると考える企業もある。目標が何であれ、IoTベンダーにとっては自社の顧客の目標実現をサポートする大きなチャンスがあり、そのチャンスは広がり続けている。実際、IoTに関連するハードウェアやソフトウェア、関連サービスを販売するベンダーの売上総額は、2020年までに4500億ドルを超えると見込まれている。
4500億ドルのIoT市場に潜む5つの落とし穴
5000億ドルにも上ろうとするこの市場でトップに立つのはどの企業だろう。画期的な新興企業が数々のニュースをもたらしている。一方、分析企業やクラウドサービスプロバイダー、ネットワーク設備のベンダーなど、実績のある企業もIoT市場においてうらやむほどの好スタートを切った。こうした企業には、長期にわたるイノベーションの実績があり、自社製品を既存のシステムと統合する能力がある。セキュリティに関する懸念から、単にさまざまなプラットフォームでスムーズに機能する製品の入手まで、IoT導入にまつわる問題は多い。このような問題の解決を考えた場合、顧客は信頼できるプロバイダーを選ぶことになるだろう。
だが、好スタートを切ったとしても、勝利は保証されない。戦略コンサルティングファームのBain & Companyによる調査では、IoTベンダーの幹部170人以上とIoT導入を考えている顧客企業の幹部500人以上にインタビューを実施した。そしてこの調査から、ベンダーが避けなければならない5つの落とし穴が見えてきた。
落とし穴1:投資を広げて手薄になる
インタビューしたベンダーの大多数が、4分野以上の業界のIoTソリューションに投資していると答えた。半数近くのベンダーが、投資先の優先順位を最大の課題の1つと捉えているのも不思議ではない。利益を生む分野が不明瞭なときは手を広げがちだが、手を広げると初期導入時に調整不十分なソリューションを開発してしまうリスクがある。その結果、実装が困難になって投資回収率が不明確になる。代わりにベンダーは3~5つ程度のユースケースに注目し、その中から狙いを定めた少数のソリューションを開発することで、長短期にリスクを分散させるべきだ。
落とし穴2:真の利益源を間違える
ウェアラブルデバイスやスマートホームデバイスなど、新しいコンシューマデバイスのニュースは大きな興奮や熱狂をもって取り上げられる。だが、長期にわたって最大の利益を生み出すのは、企業や業界向けのソリューションになることが多い。デバイス自体から得られる収益もあるが、大きな利益源になるのは、目に見えづらいものがほとんどだ。そ例えば、デバイスから生み出されるデータを利用するサービスを管理し、分析するソフトウェアなどがそれに当たる。
落とし穴3:スタンドアロン製品を提供してしまう
多くの場合、ベンダーは優れた製品やサービスを販売することだけを考え、運用は顧客に委ねることが多い。だが、IoTを導入する企業にとって、相互運用性の問題や社内の専門知識不足が最大の課題になると、自社で統合に取り組むようなコンポーネントは敬遠することになるだろう。業界をリードするIoTベンダーはパートナーと連携し、顧客が簡単に統合できるエンドツーエンドソリューションを提供している。
落とし穴4:規模拡大の実現に必要な費用を低く見積もっている
IoTの分野ではベンチャーへの出資に300億ドル超、大手ベンダーによるM&Aに750億ドル超と、既にばく大な投資が行われている。IBMはIoT市場に参入するために今後数年で30億ドル費やす計画を発表している。また、著名な通信会社やデバイスメーカーも同じく十億ドル規模の投資を行っている。
ほとんどの企業は、定期的なイノベーション、製品リリース、導入促進に掛かるコストを低く見積もっている。実績のある企業との競争に打ち勝つには、ベンダーはパートナーとの協力関係を結んだり、予想よりも多くの資金を投入したりする必要がある。その上、IoT投資は、市場での盛り上がりを待ちきれずにカットされるリスクが高い。ベンダーは、IoTや分析への初期投資をベンチャーへの出資ととらえなければならない。積極的なカットは行わず、盛り上がるまでの猶予期間を設け、明確なマイルストーンを決めて成功を追跡する必要がある。
落とし穴5:専門知識のある人材を雇用しないで現社員でやりくりする
実績のあるベンダーがなかなか前に進めない状況に陥っているとしたら、チームを適材適所に配置していない可能性が非常に高い。調査で「IoTを収益化するために適切な人材を適切な職務に配置している」と答えたのはわずか10%にすぎなかった。IoTで機会を捕らえるには、ほぼ全ての企業は、新しい能力、業界専門知識、起業家経験を備えた人材を雇う必要がある。
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