特集/連載
「クラウドでOK」と主張するIoTを信頼してはいけない理由:「ネットワークが重くて」は言い訳にできない(1/2 ページ)
全ての機器をIoTによって制御する時代が来るという。素晴らしい未来が実現と思っているかもしれない。しかし、非常事態が起きたとき、それら全てが「机上の空論」となる可能性もあるという。
生活や仕事の場がサイバー環境を認識し、その環境で起きる出来事に反応するようになる中で、産業IoT(モノのインターネット)は急速に現実のものとなりつつある。そうした多様で複雑性に富む「モノ」の分野には、温度などを測定するセンサーや、メッセージなどを送信できるCPU、Bluetoothなどのプロトコル経由で通信できるアンテナなどが含まれ、その全てが物理的なネットワークエッジに位置している。
多くのベンダーは初歩的なアプローチを取り、単純にクラウド内の単一のサーバに全てを接続してIoTを構築している。このアプローチでは確かにソリューションを単純化できるが、つながる世界という究極の展望を実現できない。
クラウドベースのみのIoTにおけるギャップには、以下のような実例がある。
- 全土を結ぶ貨物輸送列車が常時接続されていなければ、即座に制動をかけなければならない場合はどうするのか
- 溶接機はシールドが壊れれば即座に停止させる必要がある。クラウドサーバでデータが転送される30秒の間であっても動き続けてはならない
以上のような事例で分かるように、安全警報はリアルタイムで出す必要があり、通信事情による15秒以上の遅れは許されない
さらに以下のような事例もある。
- 保険会社が追加的コストをクラウドベンダーに転嫁させることなく、日々ネットワークに流入する何テラバイトもの余剰データのための経費を負担する余裕はない
- 短距離無線規格「ZigBee」と通信する現代的で効率性の高いLED電球は、クラウドサーバと通信できない
IoTの真の課題を解決するためにはエッジベースのコンピューティングが必要だ。IoTエッジコンピューティングには、即座に成果が出るメリットがある。コンシューマー向けの「Amazon Greengrass」やエンタープライズ向けの「ClearBlade IoT EDGE」ではそうした成果の実現を目指している。
併せて読みたいお薦め記事
IoTを利用した最新活用事例
- 技術の2大トレンド、「IoT」と「3Dプリント」の連携が生み出す破壊的ビジネスとは
- 見つからない店員よりも人当たりのよいロボットに相談、“小売り×IoT”の最新事例
- 「不審者侵入の即時警報を」──学校の安全を可視光通信とIoTで守る
IoT最新技術の今
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.