事前に綿密な計画を
AWS vs. Azure vs. Google、クラウドへのオフラインデータ転送サービス比較
データをクラウドへ移す際にストレージディスクを送る方法は、古臭いようで実は広く利用されている。AWS、Azure、Googleのサービスを比較してみよう。
テラバイト規模のデータをパブリッククラウドに移すとき、安価で高速なネットワーク接続を利用できないならオフラインストレージという昔ながらの手法を利用することになる。物理ディスクにデータを保存し、それをクラウドサービス事業者に送付してクラウドにデータをロードしてもらうという方法だ。
ただ、この方法を利用する前に、ユーザー企業のITチームは慎重に計画して予算を調べ、データが安全に適切な状態で輸送されることを確認しなければならない。本稿では「Amazon Web Services」(AWS)、「Google Cloud Platform」「Microsoft Azure」(Azure)のオフラインデータ転送サービスを紹介する。
Amazon Web Services
AWSの主要なオフラインデータ転送サービスは「Amazon Snowball」(Snowball)と「AWS Snowmobile」(Snowmobile)だ。
Snowballでは、管理者が「AWS Management Console」でジョブを作成するとAWSからSnowballアプライアンスと呼ばれる物理ディスクが送付されてくる。ユーザーはAWSへ移したいデータをこのSnowballアプライアンスにロードする。データボリュームには電子的にラベルが付加され、このアプライアンスをAWSに返送すると、AWSがそのデータをクラウドにロードしてくれる。
サービス料金はデータ転送ジョブごとに発生し、本稿執筆時点では50テラバイト(TB)で200ドル、80TBで250ドルだ。
さらに大容量のデータ転送が必要な場合は、Snowmobileというエクサバイト規模のデータ転送サービスがある。アプライアンス1台当たり最大100ペタバイトのデータを保存でき、長さ14メートルのコンテナに積んでトラックでAWSに輸送することができる。料金は1カ月にトラックに保存するデータ量に基づいて計算される。
Microsoft Azure
Microsoft Azureが提供する「Azure Import/Export」というサービスはAWSのSnowballと似ているが、物理ディスクは提供されない。ユーザー側でディスクを用意し、以下の要件を満たす必要がある。
- 2.5インチソリッドステートドライブ(SSD)または2.5インチ/3.5インチSATA II/SATA III内部ハードドライブを使用する
- ハードドライブにデータをコピーするときは、2.5インチSSDまたは2.5インチ/3.5インチSATA II/SATA IIIのコネクタを使って直接接続するか、外部2.5インチSSDまたは2.5インチ/3.5インチSATA II/III USBアダプタを使って外部接続する
- ハードドライブの上限は10TB
- インポートジョブではドライブの最初のデータボリュームのみが処理される
- データボリュームはNTFS形式でフォーマットする
本稿執筆時点(2017年2月)のサービス料金はストレージデバイスごとに80ドルだ。ユーザーが購入した物理ドライブにデータをコピーする「WAImportExport」というツールの最新版をダウンロードすることが推奨されている。
Google Cloud Platform
Googleの「Offline Media Import/Export」(オフラインメディアのインポート、エクスポート)もAWSやMicrosoftと同様のオフラインデータ転送サービスだが、サードパーティーベンダーを利用する点が異なる。サードパーティーのサービスプロバイダーに物理メディアを送付し、Googleのクラウドにデータをアップロードしてもらう。
Offline Media Import/Exportを利用するには、Googleを通さずに、ユーザーが選んだサードパーティープロバイダーと別途契約する必要がある。例えば北米地域ではIron Mountain、欧州、中東、アフリカ、アジア太平洋地域ではPrime Focus Technologiesがこのサービスを提供している。
オフラインデータ転送の注意点
オフラインデータ転送サービスは1回限りの処理と思いがちだが、多くの企業はこれから数年かけて何十回とこうした処理をすることになるだろう。ITスタッフにこのプロセスと技術を習得させておくのが得策だ。専門チームを用意することも検討したい。
またセキュリティにも気を付けなければならない。クラウド事業者の多くは「BitVault」などの技術で顧客にデータを暗号化させているが、輸送中に物理ディスクが紛失した際に企業データが漏えいしない対策を講じることも重要だ。物理ディスクその他のストレージデバイスにデータを保存したら、クラウド事業者が指定する特定の手順に従って輸送を計画する。
こうしたデータ転送サービスを利用する場合、事前に綿密な計画を立てておこう。どのような物理デバイスが必要か、それはいつ必要か、1回の転送にどれだけの予算と人員が必要か、よく把握しておかなければならない。十分に計画を立てておけば、想定外の時間やコストの発生を防ぐことができる。
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