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製薬企業のビッグデータ活用、匿名化された患者の臨床現場データがあると何が分かる?:ライフサイエンス企業のCIOが描く成長戦略【第4回】(1/2 ページ)
製薬企業はどのような形でビッグデータを利活用しているのだろうか。リアルワールドデータ(RWD)の話題を中心に、さまざまな企業の事例を紹介する。
連載について
本連載では「ライフサイエンス企業におけるITの現状と課題」をテーマに、ライフサイエンス企業の中でも特に製薬業界でのIT事情を紹介する。「制約された環境下におけるプロモーション」「情報プラットフォーム」「CIO(最高情報責任者)やIT部門の役割と展望」といった切り口で解説する。
連載第3回「製薬企業にもビッグデータの波、『リアルワールドデータ』活用に必要な技術とは」では、どのようなデータがライフサイエンス分野においてビッグデータを形成しているか、またそのデータを利活用するためのテクノロジーについて紹介した。製薬企業は、具体的にどのような形でデータの利活用やその検討を進めているのだろうか。リアルワールドデータ(RWD、注1)の利活用を中心に紹介する。
※注1:臨床現場で得られる匿名化された患者単位のデータのこと。
製薬企業におけるビッグデータ利活用の例
RWDは売り上げデータとは異なり、販売開始直後や期末の在庫積み上げの影響がないため、新薬の実際の処方件数を正確に把握できる(図1)。RWDは患者単位のデータのため、治療の流れを把握しやすい。RWDからは、例えば処方動態(ある薬剤が新規で処方されたのか、もしくは他の薬剤から切り替えられたものなのかといった状況)や薬物療法の継続状況、処方間隔、処方量などの情報が分かる。これらの情報は、
- 「どのように自社製品が使われているか」という視点でのマーケティング
- 営業活動における市場理解の強化
- 新薬の研究開発における開発機会の探索
など、さまざまな場面で活用されている。
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