いまさら聞けない「SoE」、従来の「SoR」とは何が違う?:柔軟性とスケーラビリティが鍵
データ管理の分野では今、イノベーションを創出するシステムとして「Systems of Engagement」(SoE)を構築する動きが活発化している。鍵となるのは、柔軟性とスケーラビリティ。そして「Systems of Record」(SoR)との違いは?
ホテルや民泊仲介サービス「Airbnb」で予約を済ませ、料金を支払うと、そのデータが「Systems of Record」(SoR:記録のためのシステム)に記録される――。これもITのちょっとした醍醐味だ。だがこうした記録レベルの処理に、かつてほどの新鮮味はない。今日、ITの醍醐味を提供してくれるのは「Systems of Engagement」(SoE:顧客とのつながりを構築するためのシステム)だ。
企業と顧客とのWebを介した複雑な関係の構築に役立つシステムとして、SoEは目下、大いに注目を集めている。
SoEは大規模な導入と柔軟な機能変更に対応できなければならない。既に実現しているSoEの例には、レコメンデーションエンジン、特価販売、モバイルアプリケーションなどがあり、さまざまなデータタイプに対応するデータ管理ツールや高速データ処理、新しい分析手法などが、こうしたシステムを支えている。
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調査会社IDCのアナリストであるカール・オロフソン氏は、同社が2017年3月にボストンで開催したカンファレンス「Directions 2017」において、データ管理の分野は近年SoEへのシフトを伴う大きな過渡期にあり、この変化は今後も続くとの見通しを示した。
「人々は業務プロセスを見直し、SoRからSoEへの移行を図ろうとしている。そうした新しいシステムには高い柔軟性が必要だ」とオロフソン氏は語る。
SoEは、高いスケーラビリティを備え、何百万人というユーザーのデータを猛烈なスピードで処理する必要がある。そして、柔軟性も備えていなければならない。
柔軟性が必要なのは、データの種類が以前よりはるかに多様化する中で、小回りの利くシステムが求められるからだ。こうした必要性から、今ではデータ管理者もより多様なデータベースとその関連コンポーネントを活用できるようになっている。
オロフソン氏によれば、最近は注目のグラフ型データベースの他、Key-Valueストア、ドキュメントデータベース、永続的ストリームマネジャーなどを組み合わせ、スケーラブルなデータプラットフォームを構築する動きがみられるという。こうしたプラットフォームがSoEの急成長を支え、さらに重要なことに、SoEとSoRを連携させている。
この変化は、オペレーション重視のビジネスインテリジェンス、あるいはトランザクション処理と分析処理の融合への大きな転換の兆しとみることができる。
今では、ストリーミングエンジンやKey-Valueストアなど、顧客とのつながりを構築し、ほぼリアルタイムでお得情報を提供できるデータツールも各種登場している。
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