覚えておきたい新しいIT投資先、「SoE」「SoI」とは:システムは「記録」から「連係」へ
IDCは、2016年までに企業のIT投資の65%が既存の「Systems of Record」ではなく「Systems of Engagement」や「Systems of Insight」になると予想する。
企業のCIOは、自分の仕事が単に既存の「Systems of Record」(SoR:記録のためのシステム)を保守、拡張するだけでなく、外部のサービスと連係する「Systems of Engagement」(SoE:人との関係を構築するためのシステム)や「Systems of Insight」(SoI:SoRとSoEの両方から新たな知見から洞察を得るためのシステム)の構築へと拡大しつつあることを認識する必要がある。IT部門はこうした新しいタイプのシステムについて、発達の特性やライフサイクル、資産活用面での特性などの検討を始めるべきだ。こうした新種のシステムの構築に備えることは今後、極めて重要となる。
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例えば、大半のIT部門は現在稼働中のSoRについては、「向こう何年間か使用するもの」と捉えている。システムの更新はするにせよ、恐らく10年以上は使うつもりでいるはずだ。つまり、たとえ基盤のインフラが変わっても、SoRは変わらないということだ。移行計画は極めて重要かつ時間のかかる作業となる。
一方、SoEは半年ペースで変わっていく可能性がある。移行ではなく、運転を停止し、データを保存した上で次の取り組みに移るというかたちでだ。従ってIT部門は、この従来とは大きく異なるアプリケーションのライフサイクルに対応できるよう、態勢を整える必要がある。こうしたシステムの多くはマネージドサービスとして提供されることになるので、今後CIOには適切なスキルを備えたサービスパートナーを探すことが求められる。
さらにCIOは、SoEとSoIでは、データ管理とデータ利用の重要性が高まることも認識しておく必要がある。CIOが取り組むべきは、従来のストレージシステムやアプリケーション環境に付随する管理の負担を軽減し、利用のしやすさを向上させることだ。IT部門は、より確実で迅速な情報共有を可能にするだけでなく、セキュリティと監査可能性の問題にも対処し、そうした情報の利用をより的確に管理し、誰がいつどのように情報を使用しているかをより正確に把握できるようにしなければならない。
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こうした新種のシステムでは、サービスの作成と定義の要件もより複雑となる。そこで注目されているのが、クラウドオーケストレーションやクラウド自動化といった技術だ。現状では、大半の企業の取り組みがインフラやOSレベルにとどまっているが、多くの場合それでは不十分だ。
必要なのは、プラットフォーム層でのデータサービスやデータ管理にフォーカスした自動化サービスだ。自動化が必要なのはOS層ではなく、データベースやミドルウェア層であり、探すべきはそうした層に自動化を追加するソリューションだ。
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