複数のAPIを活用する
マイクロサービスのAPI実装で失敗しないための3大原則
APIは重要だ。そして、等しく重要なのがAPI戦略だ。本稿では、全ての組織が留意すべきAPIの主要設計原則を3つ紹介する。
APIは複雑なプロトコルで、成功を確実にするには周到な設計が必要になる。マイクロサービスアプリケーションに取り組むときは特に入念な設計が欠かせない。マイクロサービスのAPIを実装する際に従うべきAPI設計原則は3つある。ここではそれを紹介する。
API設計戦略の責任を担う3者とは
API設計戦略では、ビジネス部門の責任者、エンタープライズアーキテクト、開発者の3者が重要な役割を担う。
API設計戦略は、ビジネス部門の責任者が発案者となる。アプリケーションの範囲を拡大することで満たすことができるビジネスニーズを唯一把握しているのがビジネス部門の責任者だ。ビジネス部門の責任者は、未開拓市場に進出し、パートナーと連携してアプリケーションを補完して、新たな収益化の機会の実現を目指すこともある。こうした数々の状況でAPIを利用することになる。
次の段階では、エンタープライズアーキテクトやITマネジャーが、ビジネス目標に従ってAPI設計を実施する役割を担う。ここに関わってくるのがマイクロサービスだ。エンタープライズアーキテクトは、モノリスからマイクロサービスへの移行に伴って何が起きるかを理解している。これを理解したうえで、最も注意するのが、公開される可能性のあるデータのセキュリティだ。また、新たに急増するサービスに遅れずに対応できるスケーラブルなAPIを構築することにも注意を払う。最初は、モノリスから少数のサービスだけを独立させる方法を選ぶかもしれない。だが、最終的には、数十、数百ものサービスからアプリケーション全体を構成することになる可能性がある。これらの各サービスは、セキュリティが確保された方法でAPIを通じて公開する必要がある。
最後にAPI設計戦略を実装するのが開発者だ。開発者は、APIのテクノロジーとトレンドに精通し、快適な操作性を実現するAPIを設計できる必要がある。
API設計戦略の実装にはこれらの全ての役割が重要になる。ただし、ビジネスとテクノロジーの両要件を確実に満たすという点で、エンタープライズアーキテクトが中心的役割を担う。
3種類のAPI
API設計戦略を計画する際は、設計したAPIにアクセスするアプリケーションを開発する開発者と、そのアプリケーションを利用するエンドユーザーを念頭に置く必要がある。APIは、そのAPIにアクセスする開発者やユーザーに応じて、パブリック、プライベート、制限付きの3種類に分かれる。API設計原則の1つは、APIの各種類に伴う要素を理解することだ。
パブリックAPIは、インターネットに接続するユーザーなら誰でもアクセスできる。この種のAPIの好例にはGoogleの「Googleマップ」がある。Googleマップには、全てのインターネットユーザーがブラウザからアクセスできる。また、開発者はGoogleマップのデータを利用するアプリケーションを構築できる。
プライベートAPIは、社内で利用され、社内開発者や社員がアクセスする。このようなAPIは、顧客関係管理システム、ERPシステム、インターネットサイトに統合されて使用される。
制限付きAPIは、社外のパートナーや開発者グループと共有されるAPIだが、インターネット全体には公開されない。Hotels.comのホテル予約Webサイト「Hotels.com」がこのようなAPIの例になる。Hotels.comでは、旅行情報を集約したWebサイトのTripAdvisorの「TripAdvisor」からアクセスして、ホテルの部屋を評価したり、利用状況を確認したりすることができる。
APIの利用方法が分かれば、それだけAPIの計画や実装は容易になる。マイクロサービスアプリケーションの最も優秀な点は、アプリケーションを部分的に公開、共有しながら、他の部分をプライベートにできることだ。これは、各サービスに、他のAPIと無関係に制御できるサービス独自のAPIがあるためだ。
APIを組み合わせて充実したユーザーエクスペリエンスを実現
3つのAPI設計原則の最後は、ユーザーエクスペリエンスの設計に関することだ。充実したユーザーエクスペリエンスを実現するには、アプリケーションで複数のAPIを活用する必要がある。コンシューマーアプリケーションなら、Wikipedia、YouTube、Twitterなど、公開されているさまざまなデータソースからデータを集めることができるだろう。エンタープライズアプリケーションなら、さまざまなアプリケーションからの情報を利用して、顧客をあらゆる角度から見つめることができるだろう。例えば、顧客のメール、通話、購入履歴、人口統計学データを全て取得して1カ所に集めた顧客プロファイルを作成することもできる。このようなプロファイルを用意すれば、サポートチームや営業部門など、顧客と直接関わるチームを強力に支援できる。
まとめ
マイクロサービスアプリケーションでは、エンドユーザーに卓越した体験を提供できることが重要になる。従うべきAPI設計原則は多数あり、本稿で紹介したのはそのうちの3つにすぎない。だが、API設計戦略チームを編成し、APIの共有方法を計画して、複数のAPIを組み合わせることで将来性のあるマイクロサービスから利益を得られる。優れたマイクロサービスアプリケーションを実装するうえで鍵を握るのはAPIだということを肝に銘じておきたい。
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