モバイルファーストを追求するANA、明らかになったアジャイル開発の成果と課題:目指すは国際線におけるサービスアップ
国際線におけるサービスアップを目指す全日本空輸(ANA)は、顧客とのタッチポイントとなるモバイルアプリをデジタル戦略の中核に据え、即時性のある施策をシステムに反映するためアジャイル開発を導入した。
「エアライン事業領域の拡大」「新規事業の創造と既存事業の成長加速」を経営戦略の柱とする全日本空輸(ANA)は、利用者により良い顧客体験を提供すべく、モバイルアプリケーションを対象に継続的変化に対応できるシステム開発の在り方を検討してきた。そして導入したのが、企業のアジャイル開発の体得を支援するサービス「Pivotal Labs」を活用した開発手法である。そこから見えてきた成果と課題について、ANAシステムズの会長、幸重孝典氏が語った。
併せて読みたいお薦め記事
Pivotalの事例
- ヤフーの「Cloud Foundry」徹底活用術、使って分かったPaaSの魅力と難しさ
- ヤフー、“開発効率10倍”を目標にPaaS利用に本腰
- 社内システムのモバイル化を手助け、Pivotalの買収戦略をひもとく
アジャイル開発の現状
国際線でのサービスアップを目指すANAに求められるデジタル戦略
世界の航空会社のシェア勢力図はこの10年で激変している。2017年11月に開催されたPivotalジャパンのイベント「Pivotal.IO 2018」に登壇し、「デジタルトランスフォーメーションの推進 ANAにおけるアジャイル導入」と題して講演した幸重氏は、LCC(格安航空会社)が10年前よりも旅客数で世界の航空会社を圧倒している現状に触れ、「シンプルなビジネスモデルやサービスの省力化といった要因も当然ありますが、より注目すべきはインターネットを最大限に活用していることです」と分析。「われわれも多くのことをLCCから学んでいかないと、今後のグローバル競争を戦っていくことはできません」と語った。
即時性のある施策をシステムに反映するためアジャイル開発を導入
もちろんANAのデジタル化が遅れているわけではない。1997年にはマイレージプログラムおよびインターネット予約という2大デジタルサービスを開始。その後もスマートフォンサイトやアプリの展開を進めてきた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.