「Dockerは2018年に身売り」とのうわさは本当か? 同社幹部に聞いた:「Google、Microsoft、Red Hatの買収なら歓迎」との声も(1/2 ページ)
Dockerの事業見通しの不透明さから、一部の企業のIT担当者は「コンテナオーケストレーション」ツールの導入方針を決めかねている。
コンテナ管理ソフトウェア「Docker」の一部のユーザー企業は、Dockerの商用版「Docker Enterprise Edition」(以下、Docker EE)の「コンテナオーケストレーション」機能の積極的な活用に踏み切れずにいる。提供元であるDockerの事業戦略の不透明さが原因だ。
Dockerは目下、2つの相反するビジネスニーズの間で板挟みの状態にある。コンテナブームに乗じて投資家を喜ばせる必要がある一方で、オープンソースコミュニティーでは良好な評判を維持しなければならないからだ。Dockerコンテナの配備や監視を支援するコンテナオーケストレーションの分野では、オープンソースコミュニティーから誕生した「Kubernetes」が、2017年に事実上の標準としての地位を確立した。
業界観測筋がDockerの事業戦略を疑問視するようになったのは、2016年のことだ。その後Dockerが同年に、Dockerの中核要素である「Docker Engine」に自社開発のコンテナオーケストレーション機能「Docker Swarm」を組み込むと、同社の事業方針に対する疑問の声は最高潮に達した。
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Dockerは2017年にはオープンソースコミュニティーへの埋め合わせとして、Kubernetesや関連のオープンソースソフトウェア(OSS)を管理する業界団体Cloud Native Computing Foundation(CNCF)に、Docker Engineのコンテナランタイム(実行環境)「containerd」を寄贈すると表明。さらに同年10月には、Docker EEのオーケストレーションツールとして、Docker Swarmに加えてKubernetesを採用すると発表した。
業界観測筋や顧客は、Docker EEへのKubernetesの採用は正しい判断だったとの考えで一致している。仮にDocker Swarmがなくなったとしても、Kubernetesで代用できるからだ。「Docker SwarmがなくなってもKubernetesを使えば、コンテナオーケストレーションをこれまで通りに継続できる」と、人事(HR)ソフトウェアベンダーADPのチーフストラテジックアーキテクトであるジェームズ・フォード氏は語る。
Docker EEは、企業のIT部門向けに独自のセキュリティ機能とガバナンス機能を提供する。OSS版のDockerである「Docker Community Edition」(以下、Docker CE)は、これらの機能を搭載しない。機密情報を安全に管理するための機能「Docker secrets」は、Kubernetesが同様の機能を搭載するより先に市場に投入された。「Docker Notary」はコンテナイメージのセキュリティを検証するための機能だ。
コンテナオーケストレーションの要素をOSS、つまり無償のツールに譲ることが、今後Dockerの長期的な売上高にどのような影響をもたらすかは定かではない。
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