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Slackが「音声通話」「ビデオ通話」機能をあえて強化しない理由「Microsoft Teams」「Cisco Spark」とは別の道を選ぶ(1/2 ページ)

MicrosoftやCisco Systemsなどとの競争が激しさを増しているものの、チームコラボレーション市場で依然として支持を集めるSlack。その競争力の源泉に迫る。

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他サービスとの“連携力”がSlackの生命線か

 チームコラボレーションサービス「Slack」は近頃、「Microsoft Teams」「Cisco Spark」といった競合サービスとの競争が激しくなってきている。ただし製品の成熟度や愛好している顧客層の厚さ、評判の良さから、チームコラボレーション市場をけん引する存在であることに変わりはない。今後数年は、顧客を勝ち取り続ける優位な位置にいる。

 2013年のリリース以来、Slackはチーム単位で継続的にインスタントメッセージをやりとりする仕組みを提供し、働き方の変化を促した。Slackの成功を受けて、ユニファイドコミュニケーション(UC)のベンダーやスタートアップ(創業間もない企業)の間で、独自のチームコラボレーション用アプリケーションをリリースしたり、あるいは他社から獲得したりする動きが広がった。Facebookをはじめ、コンシューマーを主なターゲットとする大手企業でさえも、この新興市場に参入してきた。

 MicrosoftやCisco Systems、Avayaなどの競合ベンダーは、自社サービスの愛好者である多くの顧客に対して、自社のチームコラボレーションアプリの導入を促すことができる。対照的にSlackは、当初の成功を後押しした“草の根方式”に頼り続けることになるだろうと、Slackの最高技術責任者(CTO)兼共同創業者であるカル・ヘンダーソン氏は言う。

 ヘンダーソン氏は「初めに草の根レベルで導入されていたからこそ、私たちは企業への販売に成功できたことは間違いない」と主張。この方式で今後もユーザー企業を増やしていくと説明する。

 メディアの21st Century Fox(21世紀フォックス)や小売りのTarget、金融のCapital One Financial、IBMなどの大手企業を含む150社以上の企業が、Slackの大企業向け強化版「Slack Enterprise Grid」を導入してきた。まず社内の小さなグループ単位で通常版「Slack for Teams」のフリープランを利用し、従業員がその機能に魅せられ、結果としてSlack Enterprise Gridの導入に至った企業は少なくないという。

新興チームコラボレーションアプリが群雄割拠する市場

 調査会社Gartnerは、チームコラボレーションアプリのように即座の応答が得られる同期型コミュニケーションと、メールを中心とする非同期型コミュニケーションを組み合わせた製品分野を「ワークストリームコラボレーション」と呼ぶ。同社アナリストであるアダム・プリセット氏によると、ワークストリームコラボレーション製品を販売するベンダーは、少なくとも100社あるという。この比較的新しい市場が成熟するには時間がかかるだろうが、Slackは同市場において「今後も重要なプレイヤーとしての位置を保つ」とプリセット氏は言う。

 プリセット氏は、Slackをチームコラボレーション市場の「象徴的存在だ」と考えている。「Slackはこの市場に大きな関心を集め、技術の発展をけん引してきた。今後も強豪として認知され続けるだろう」(同氏)

 Slackは、現在1日当たり600万人のアクティブユーザーを擁しており、投資家からの評価額は50億ドル規模ともいわれる。Microsoft TeamsやCisco Spark、「Avaya Zang」「Unify Circuit」をはじめとする老舗UCベンダーの競合サービスに対抗する必要がある。こうしたベンダーは近頃、チームコラボレーションアプリの導入促進策を強化してきた。

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