HDDと同じ手順では情報漏えいの危険も
SSDの廃棄方法と、SSDが「ドリルで穴を開けても復旧可能」な理由
使用済みのSSDを寄付するのは素晴らしいことのように思える。だが、データの安全を保ちたいなら話は別だ。SSDの廃棄とリサイクルは思っているより複雑だ。
SSDは急速に進化している。価格は下落し、速度と容量は増え続け、SSDはストレージ市場での地盤をさらに広げている。ただしSSDの寿命は延びても、従来のHDDと同様、いずれ交換が必要になる。データを安全に消去してSSDを破棄するには、その復元性と構造を考慮しなければならない。
経年劣化したSSDや旧型のSSDを盗難や不正使用のリスクを負わずに安全に破棄するには多少の手間が必要になる。データを削除するか暗号化して、物理SSDそのものを処分しなければならない。使用済みのSSDを寄付するのは現実味のある案のように思える。だが、寄付しないよう強く警告する専門家もいる。
本稿では、SSDのデータを確実かつ徹底的に消去してSSDを破棄するヒントを幾つか紹介する。
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SSDの安全な消去
単純にファイルを削除してSSDをフォーマットするだけではSSDのデータを完全に削除しきれていない可能性がある。
目に見えるデータの痕跡を完全に取り除くため、SSDに対応した複数のデータ上書きプログラムを使うことを提案するのは、テクノロジーリサイクル企業Revolution Recyclingの社長を務めるマーク・クーパー氏だ。「原理はHDDの消去と同じだ。データストレージデバイス全体をランダムデータで上書きする。ただ、仕組みは異なる」と同氏は話す。
テクノロジー製品のテストとレビューを行うWebサイトを運営するComparitechに所属し、プライバシー保護推進派であるポール・ビショフ氏は次のように語る。「SSDメーカーはドライブの中身を安全に消去できる独自のソフトウェアを作成して無料で提供している場合が多い。使用しているSSD専用に設計されたツールをメーカーのWebサイトで確認すべきだ」
SSDのデータを全て単純に暗号化し、暗号化キーを捨ててから、SSDをフォーマットし直すことも可能だ。「データが復元されて暗号化が破られるリスクは非常に低い」とビショフ氏は言う。
データ復旧サービスを提供するDriveSaversでエンジニアリング部門のディレクターを務めるマイク・コブ氏は、SSDを安全に消去する別の方法を提案する。「それは、暗号化したドライブを消去することで全てのファイルを消し、次に、その新たにフォーマットしたドライブで暗号化をもう一度有効にする方法だ。この方法はデータを上書きする方法ほど優れてはいない。だが、ほとんどの場合は復旧不可能になる」と同氏は語る。
このプロセスは手順が若干複雑ではあるが、複数のデータ上書きプログラムによる反復作業よりずっと高速だ。「このオプションを使う場合、mac OSに搭載された『FileVault』や、Windows 10 Proに搭載された『BitLocker』を使うだけで済ませられる」とコブ氏は説明する。
物理的な廃棄
非常に機密性の高いデータをSSDに保存している場合、SSDを安全に消去してから物理的に破壊すれば不正に復旧される可能性はほぼゼロになる。だが、残念ながら、使わなくなったSSDをHDDのように扱う失敗を犯している企業は多い。
ビショフ氏は次のように説明する。「HDDの方が物理的に破壊するのはずっと簡単だ。HDDにドリルで穴を開けるだけで済む。だが、SSDには複数のメモリチップが収容されおり、これらを全て個別に破壊しなければならない。1つでも残せば、使わなくなったドライブやデバイスに企業のデータが残る事態につながり、それらが復旧される恐れがある」
SSDの構造化方法が原因で、磁石を使用したりチップに穴を開けたりすることでSSDを壊そうとしても、データは無傷のまま残りかねない。「最善は、内蔵のメモリチップが全て粉々になるようにハンマーを使って徹底的に破壊することだ。専用のシュレッダーで粉砕してもらうことも可能だが、それだとコストが高くつく。実際に粉砕が必要なのは、機密性が非常に高いデータに限られる」とビショフ氏は指摘する。
シュレッダーで粉砕する方が適切な場合、正しいサイズのシュレッダーを使用することが重要だ。「SSDに格納されているデータブロックのサイズは縦横ともに約12.7ミリメールだ。そのため、約9.5ミリ幅で処理するシュレッダーを使ってSSDを粉砕することを勧めている。そうやって全てのブロックを確実に破壊する。幅の広いシュレッダーでSSDを粉砕するのは効果的ではない。多くのブロックが無傷で通過する恐れがある」とクーパー氏は語る。大きめのシュレッダーを使用する場合、全てのブロックが完全に破壊されるように、複数回繰り返してSSDをシュレッダーに掛けることを同氏は勧める。
SSDに穴を開けて壊すように設計されたSSD破壊用の装置もある。「こうした装置はワッフル焼き器を思い起こさせる。SSDを装置内部に配置して、蓋を閉める。閉じたら、頑丈で鋭く突き出した多数の針によって、6.35~1.27ミリの穴がSSDに開けられる。その穴の大きさは設備のサイズに応じて変わる」
寄付するかどうか
クーパー氏は、使用済みのSSDを従業員や知人に譲ったり、チャリティーに寄付したりしないようにと助言する。「使い終わったIT機器は全て、認定を受けたIT資産の廃棄企業に処理を依頼すべきだ。顧客データや企業データが含まれている可能性がある場合は特にそうだが、ほとんどの企業は使用済みのIT機器を売り払おうとは考えていない」
クラウドデータセンターベンダーのGreen House Dataで情報セキュリティ部門のマネジャーを務めるダニエル・オ・ディター氏も、古いSSDを譲りたくなる衝動を抑えるよう勧める。SSDの安全な消去に成功した後でも同じだ。「メディアサニタイズ(メディアの無効化)の最も重要な側面の一つは信頼だ。全てサニタイズ手法には手動のプロセスが含まれる。これは人間が実行しなければならないため、一貫性のない形になる」とディター氏は言う。不完全なSSD消去により、機密ファイルが無傷のまま残ることもあり得る。「信頼を確実なものにするには、メディアを物理的に管理するのは諦めて、物理的に破壊するしかない」
クーパー氏によると、SSDを破壊することを選んだときに犯す最大の過ちは、廃棄およびリサイクル会社に対し、廃棄する機器の中にSSDが含まれていることを伝えないことだという。「物理的に破壊する際に、SSDとHDDは分けておく必要がある。復元できないところまで確実に破壊するためだ。破壊されたといえる小片の大きさがSSDとHDDとでは異なる。押しつぶすといったプロセスはHDDのプラッターなら十分に破壊できる。だが、SSDには適さない」とクーパー氏は話している。
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