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企業利用が浸透しつつあるNVMeフラッシュストレージ、今後の展開は?2021年にはシェアの半分を占めると予想

ハイパースケールデータセンターはNVMeフラッシュの早期導入者(アーリーアダプター)だ。ベンダー各社も今後数年でフラッシュデバイスとNVMeファブリックの普及をさらに進める計画を立てている。

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 NVMe(Non-Volatile Memory Express)フラッシュストレージを採用する企業が増えている。だが全体的な移行が始まるのは、早くても2019年以降になる予想だ。これは、2018年12月に米サンディエゴで開催されたNVMeイベントの「NVMe Developer Days」で語られた重要な見解だ。

 このイベントは2日間にわたって開催され、NVMeストレージの核心に迫ることをテーマとした。ほぼインフラチームとDevOpsチームを対象としており、かなり専門的な話になることもあった。聴衆者はこれに気後れしたのか、質疑応答セッションは質問が飛び交うことなく静かに終わった。

 開発者に大きな重点が置かれてはいたが、エンジニアリングに関する話題のほとんどでストレージ製品への言及があった。ソフトウェアベンダーEideticomは、高密度のコンピューティングが必要なストレージタスクを高速化する、フォームファクターがU.2のNVMeオフロードカードを紹介した。SSDベンダーのNGD Systemsは、アプリケーションに特化した集積回路型NVMeプラットフォームであるコンピューティングストレージ「Newport」を宣伝した。Newportは、ストレージに付加的なコンピューティング能力を挿入してアプリケーションを高速化する。

企業での利用は尚早?

 こうした高性能NVMe製品も興味深いが、企業をターゲットにしているとは思えず、少なくとも最初から企業を踏まえて開発されてはいないだろう。高速ストレージ転送の業界標準への提案が批准に向けて少しずつ前進するにつれ、NVMeフラッシュは主にクラウドサービスベンダー、高頻度の取引、ハイパースケールなアプリケーションで採用されるようになっている。

 ハイパフォーマンスストレージの需要が高まってはいるが、NVMeフラッシュストレージに切り替える必要がある企業はほとんどないと話すのは、Ciscoで先進ストレージ部門の研究開発エンジニアを務めるジェイ・メッツ氏だ。

 「インタフェース、そしてストレージの一分野としてのNVMeはCPU利用率、ならびにI/Oの性質を変えた。この両方を管理しなければならないという問題が生じ、PCIe(PCI Express)を適宜切り替える必要が出てきた。CPUで中断とポーリングを適切に使い分けること、I/Oが実際に処理される場所を適切に選ぶことも重要になった。この全てに関わっているのが、使用中のハードウェアとの直接的な関係、そしてハードウェア同士の通信だ」(メッツ氏)

 主要ストレージベンダーが大規模導入の下地を作っているため、市場には2018年12月時点でNVMeフラッシュを使ったエンタープライズ向け製品が既に登場している。Dell EMC、Hewlett Packard Enterprise、IBM、NetApp、Pure Storageといったベンダーは、NVMeメディアを搭載したオールフラッシュアレイを、SASドライブやSATAドライブと共に提供している。

 NVMe U.2 SSDのみを使用するアレイを提供する新興ベンダーも少数だが存在する。E8 Storage、Apeiron Data Systems、Excelero、EXTEN Technologies(旧Mangstor)、Pavilion Data Systems、Vexataなどがその例だ。これらのベンダーはExceleroを除き、NVMe SSD内蔵の実証済みサーバに主要なOSをパッケージ化している。

 ほとんどのデータセンター担当者にとってNVMeは新しいテクノロジーだが、そのルーツはフラッシュメモリが企業に普及する前にさかのぼる。NVMeの先駆けとなったNon-Volatile Memory Host Controller Interface(NVMHCI)が登場したのは2008年のことだ。PCIeカードとドライバを開発するための標準をSSDベンダーに提供することが目的だった。これにより、アプリケーションはホップ数を増やすことなく、PCIeバス経由でストレージに直接アクセスできるようになった。

NVMeは「ニッチプレイヤー」

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