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IT部門主導のRPA導入を成功させる不可欠な要素RPA導入成功事例

英国の水道会社がIT部門主導のRPA導入を成功させつつある。RPAからメリットを引き出すため、RPAチームを率いるリーダーが重視する不可欠な要素とは何か。

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 イングランド北西部でサービスを提供する水道会社United Utilitiesがロボティックプロセスオートメーション(RPA)の導入を開始して1年になる。同社は専門チームを立ち上げて、事業全体からRPAの応用分野を選定するのを支援している。

 同社は2017年11月、Blue Prismのソフトウェアを選定してRPAへの取り組みに着手した。同社は現在までに20件のプロセスをRPAで自動化し、さらに12件のプロセスを現在開発中だ。

 United Utilitiesのロボット部門であるデジタルオートメーションチームのトップを務めるジェネビーブ・ウォレス・ディーン氏によると、これは氷山の一角にすぎないという。同氏はRPAを確立する役割を担い、同チームの設立へと歩みを進めた。同氏が率いる10人編成のチームは、RPAと応用分野の考案に重点的に取り組んでいる。

 同氏が率いるチームの業務はDevOpsチームに似ており、RPAや人材のトレーニングを含むRPAインフラの構築と、RPAが有効な分野の定義に時間を費やしている。

時間を節約し精度を高めるロボット

 同社は2018年1月、Blue PrismのRPA製品を使って最初のプロセス自動化を完了した。エンジニアが訪問する予定の顧客にテキストメッセージを送信するプロセスだった。「ロボットが当社のアプリケーションに入り込み、担当者を確認し、テキストメッセージを送信する」とウォレス・ディーン氏は話す。

 送信するテキストメッセージは1日当たり約200通。このプロセスを8人の従業員が手作業で行っていた。今では、1台のロボットがこのプロセスを1日当たり30分で完了する。同社はこのプロジェクトだけで年間推定2000時間を節約した。

 「時間短縮は評価しやすいが、他にも精度の向上やログの記録といったメリットがある。つまりテキストメッセージを送信したこと、送信日時、送信相手が確実に分かる」とウォレス・ディーン氏は話す。

 「メリットは時間短縮にとどまらない。プロセスを堅牢(けんろう)にもする。ロボットは休暇を取ることも、病欠することもない」

 手作業が減っても、人員は削減していない。ウォレス・ディーン氏は次のように話す。「時間短縮により、テキストメッセージを送っていた担当者は顧客との関わりに多くの時間を割けるようになった。人員削減がRPAの目的ではない。インテリジェンスやビジネス知識が不要な仕事を自動化する」

 水の使用量測定を顧客が申請するプロセスにも自動化を適用している。非メーター制料金の顧客は、無料の水道メーターを申請できる。United Utilitiesは、住居の大きさや居住人数に応じてメーターの設置が適切かどうかを計算する。このプロセスをRPAで自動化した。

 これはニーズが急増し、適切な数の人員を雇用するのが難しいプロセスの一例だ。ウォレス・ディーン氏は次のように話す。「ロボットが申請を受け付け、計算を行ってから申請作業を進める。ニーズが急増したら投入するロボットを増やす。人員の不足が業務に影響することはない」

障害を検出し解決するロボット

 United Utilitiesは、顧客サービスと処理の効率を上げるだけでなく、障害の検出と解決にもRPAを利用している。水道会社として漏水の防止は必須なので、問題の早期特定が不可欠だ。

 「ロボットは、ほぼどこにでも応用できる。当社は定期的なプロセスとしてではなく、予測と監視をロボットに行わせようとしている。現在は概念実証に取り組んでいるところだ」とウォレス・ディーン氏は語る。

 ウォレス・ディーン氏によれば、同社は10台のロボットから始め、今のところはそれで十分だという。だが30秒に1回のペースでチェックする監視分野にロボットが進出すれば、より多くのロボットが必要になると予測している。

運用データのレポート作成効率を上げるRPA

 RPAによって効率が大幅に向上したもう一つの分野が、運用データのレポート作成だ。運用データのレポートは、8人の従業員が1日に4回、手作業で作成していた。この作業には毎日延べ720分かかっていた。これがRPAによって自動化され、1日当たり32分で完了するようになった。

 その真価が発揮されたのは2018年の夏、乾燥した天候が続く時期だった。運用状況を小まめに監視して報告するためレポートの回数を1日9回に増やしたが、RPAを使っていたので人員を追加投入する必要はなかった。

さらなるRPA応用分野の特定

 ウォレス・ディーン氏は、全社規模の戦略を支えるには中心になるチームが重要だと話す。ただしRPAを活用するためには、業務部門の人材を配置するのが理想的だと付け加える。

 同氏によれば、スタッフはRPAに好意的な反応を示しているという。

 「RPAについて学習しなければならなかった。事業部門のチームはそのプロセスが稼働するやいなや、これを受け入れた」(ウォレス・ディーン氏)

 同氏は次のように付け加えた「これは私と私のチームにとって重要なことだ。自動化の対象になるプロセスを特定できるのは業務部門なので、こうした人材との関係を築くことが不可欠だと考えているためだ。自動化の対象となる優れた機会を見つけるのが最大の課題になる」

 ウォレス・ディーン氏によれば、自動化に最も適しているのは大量かつ繰り返し行う成熟したプロセスだという。

 「業務部門の従業員が『ここに使えそうだ』と声を上げるかどうかにかかっている。普通は、ある部門のプロセスにRPAを導入している最中に、他のアイデアを思い付くものだ」と同氏は付け加えた。

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