「SSD」「HDD」使い分けのポイント【後編】
「SSD」を選ぶべき人、「HDD」を使い続けるべき人を分ける条件
大容量化と低価格化によってSSDなどのフラッシュストレージは企業のストレージとして主流と言えるほどになった。それでもHDDの出荷容量が増えている。どちらを選ぶべきなのか。用途で両者を比較する。
SSD(ソリッドステートドライブ)をはじめとするフラッシュストレージの大容量化と低価格化が進んで、ストレージの主流がHDDからフラッシュストレージに移行している。とはいえデータセンターでは今でも、HDDが重要な役割を果たしている。HDDの出荷容量が増加傾向にあることは前編「SSDに“主役”を譲っても『HDD』の出荷容量が伸び続ける理由」で触れた通りだ。後編に当たる本稿はHDDが採用されている用途とともに、HDDとフラッシュストレージを選択する際にどのような視点で検討すればよいのかを考察する。
HDDの用途
企業の間ではハードウェアを自社が保有・運用するオンプレミス型のインフラから、ハードウェアの運用をベンダーに任せるクラウド型のインフラを併用するモデルに移行する動きが広がっている。長期的なアーカイブ用途を除けば、オンプレミスのインフラに導入するHDDの数は減少を続けると考えられる。一方でフラッシュストレージは、大容量化と低価格化が進んだ結果として企業のアプリケーションに求められる要件を満たせるようになった。優れた性能やエネルギー効率といったフラッシュストレージ本来の良さを、オンプレミスのインフラで広く享受できるようになるだろう。
これから膨大な量のHDDを必要とするのはDropbox、Facebook、Googleなど、ハイパースケールのデータセンターを運用するオンラインサービス企業だ。こうした企業のデータセンターは膨大なデータを保管する必要があるため、大容量のストレージを必要とする。HDD市場の出荷額の半分ほどをこうしたハイパースケールのデータセンターを運用する企業が占めているという推計もあるほどだ。企業のクラウドサービスの利用が拡大している状況を考慮すれば、この割合は今後も拡大する可能性がある。
HDDの代表的な用途を下記に挙げる。
- 動画や画像、音声などのリッチコンテンツの保管やストリーミング
- DR(災害復旧)のためのバックアップ用ストレージ
- 大容量のデータを保管するためにクラウドアーカイブストレージ「Amazon S3 Glacier」を利用したり、長期的なアーカイブデータの保管庫として使用したりする場合などがある。
- 遅延による影響度が小さいウォームデータの利用
- クラウドストレージで保管しているファイルの同期や共有のためのユーザーディレクトリ、コラボレーション用のアプリケーションなどがある。
“HDDかSSDか”を選択する際のポイント
今でもHDDはフラッシュストレージより圧倒的に安価だ。容量10~12TBの企業向けSATA接続HDDのテラバイト単価は25~30ドルであるのに対し、2~4TBの2.5型またはM.2のSSDはテラバイト単価が100~150ドルとなり、前者の約4倍高い。そのため低遅延やIOPS(1秒間に処理できるI/O数)の高い性能を必要としない用途はHDDの方が適している。
業務用のアプリケーションで使用するサーバやストレージであれば、一般的にフラッシュストレージの方が適している。技術が急速に進歩することを考えると、企業が現在使用している用途でのHDDは潔く引退しなければならない時が来るだろう。現在使用しているHDD搭載のサーバやストレージシステムのアップグレードを検討するのであれば、クラウドサービスを含めた幅広い選択肢を用意して慎重に検討する必要がある。データアーカイブやDR、ファイル共有といった用途にはHDDでもフラッシュストレージでもなく、クラウドストレージが適している場合もあるからだ。
HDDとフラッシュストレージを選択する際のこうした基準は、クラウドでリソースを調達する際にも利用できる。業務アプリケーション用のストレージにはフラッシュストレージ、画像や動画などのアーカイブ用ストレージとしてはHDDが適している。SaaS(Software as a service)の場合、大抵のエンドユーザーはどのようなタイプのストレージを使用しているかを気にしない。SaaSの場合はそのアプリケーションを提供するベンダーがパフォーマンスやユーザーエクスペリエンス(UX:ユーザー経験価値)の要件に応じて必要なストレージを選択している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「SSD」「HDD」使い分けのポイント
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
4
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
5
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
6
「IT運用・情報システム業務」に関するアンケート
-
7
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
8
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
9
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
10
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー