人間とAIごとに得意なサービスのすみ分け
多過ぎる予約電話に苦慮する美容院が語る、AIアシスタント導入で何が変わったか
ある美容院は、受付スタッフが応対し切れなかった電話問い合わせ件数が1カ月当たり約560件に上っていた。電話応対のために人工知能(AI)アシスタントを導入したことで、どのような成果があったのか。
米国フロリダ州の美容院Mosaic Hair Studioは、人工知能(AI)アシスタントを導入して、テキストメッセージを使った自動顧客対応を実現している。顧客はAIアシスタントの質問に答えることで、美容院の予約ができる。
「美容院では、顧客が殺到して応対しきれなくなることがよくある」と語るのは、Mosaic Hair Studioの経営者であるマイク・ファン・デン・アビール氏だ。特に来客の受付業務が多忙になるという。
予約の電話や顧客の来店が同じタイミングで重なったり、顧客が次々に現れたりすることで想定外に混雑する時間帯が生まれることは珍しくない。受付専任のスタッフを数名置いているにもかかわらず、Mosaic Hair Studioでは押し寄せる顧客に対処し切れないことがある。
そこでアビール氏は2019年前半に、AIアシスタントツールベンダーViduramaの受付用AIアシスタントサービス「True Lark」(画像1)を導入した。
受付用AIアシスタントならではの利点とは
Viduramaは、予約管理と支払情報の収集、消費者の質問への回答といった、受付業務に特化した会話型AIアシスタントサービスの開発と販売を手掛けている。
同社で販売とマーケティングの責任者を務めるエリック・ウィーデン氏は「True Larkの会話型AIアシスタントは、一般的なチャットbotより賢い」と主張する。ウィーデン氏は「受付スタッフを1人増やしても、全ての受付業務に対処できるとは限らない」と話す。事実、Mosaic Hair Studioでは受付専任のスタッフを数名配置しているにもかかわらず、日々の電話応対に苦戦している。「受付スタッフは電話や問い合わせに対処して身動きが取れなくなることがある。しかし全ての問い合わせが、その場ですぐに対処する必要があるとは限らない」とアビール氏も同意する。
アビール氏によると、2019年11月中にMosaic Hair Studioのスタッフが取れなかった着信件数は561件に上るという。電話を取れなかった主な理由は、スタッフが忙しくて電話に出られなかったか、閉店後に電話がかかってきたことだ。
True LarkのAIアシスタントは取れなかった電話に対し、電話の目的を尋ねるテキストメッセージを自動送信する。スタッフが応対できなかった561件の着信の約70%で、送信した自動テキストメッセージに対する顧客からの返信があった。このAIアシスタントはMosaic Hair Studioが利用している店舗予約用Webサービス「Booking.com」と連携しているため、営業時間や駐車場の有無、予約確認といった基本的な質問にはテキストメッセージで返答できる。
AIアシスタントを導入したことで、顧客はテキストメッセージで予約できるようになり、若い世代に好評を博しているという。「AIアシスタントは、全ての予約可能な時間を把握している」(アビール氏)
Mosaic Hair Studioの若いスタッフは、同世代の顧客とよくコミュニケーションをとっており、「若い世代の顧客が留守電にメッセージを残すことはないが、テキストでメッセージを残すことはある」という。アビール氏は「AIアシスタントを活用したメッセージのやりとりは若者への訴求効果がある」と話す。
True Larkを選んだ理由
アビール氏は、受付スタッフのさらなる増員や他社サービスの利用といった選択肢についても検討していたが「True LarkのAIアシスタントは、他の選択肢よりも安価だった。Booking.comと簡単に連携できる点と、シンプルで使いやすい点も気に入った」と説明する。導入後、AIアシスタントの設定の大半は自動で実行され、人手による設定が必要だったのは幾つかの自動メッセージの調整だけだったという。
アビール氏は今後も、受付専任のスタッフとAIアシスタントの併用を継続する意向を示す。それぞれが異なるニーズに応えられるため、この組み合わせにはメリットがあるという。「スーパーマーケットの店内を歩いている場合を考えてみてほしい。スタッフに話しかけたいときもあれば、セルフレジが設置されていないことにイライラするときもあるだろう」とアビール氏は話す。
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