パンデミックと投資動向【前編】
コロナ禍の納期遅れでも「ストレージ」を買う企業、買わない企業を分ける条件
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって一部ではストレージ製品の納期の遅れが発生している。企業のIT投資にどのような影響があるのか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴い、ストレージの導入計画を見直す動きがある。一部の企業はストレージの新規購入の延期や計画自体の凍結を決めている。その一方で、計画通りにストレージを購入する企業もある。さらには「ストレージのサプライチェーンが乱れる可能性がある」というベンダーの警告を受け、購入を前倒しする動きもある。
納期遅れがストレージ投資に与える影響
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ストレージの業界動向
ITベンダーMirazonの創設者であるクレイグ・スタイン氏は、同社と継続的に取引がある約600社のユーザー企業のうち半数ほどが、投資計画を一時的に凍結したり、計画自体を保留にしたりすると推計している。その中には「ノンエッセンシャル」(非必須)の事業と見なされ、パンデミック(感染症の世界的な大流行)の影響で営業休止を余儀なくされた小売業者や飲食店、娯楽施設などが含まれるとスタイン氏は説明する。
残る半数の顧客は、平常通りの営業を続けて計画通り投資を実行する企業と、一次的に購入を増やす企業のほぼ半々に分かれるという。物流、エンジニアリング、建設業などは、購入のプロジェクトを前倒しする。営業に必要な機器や機材が手に入らなくなる可能性があると懸念しているためだ。学校の中にも、通常なら夏期に回すプロジェクトに春季に着手した例もある。
スタイン氏によると、現状ではほとんどの企業向けストレージベンダーの納期はずれ込んでいないが、状況は変わる可能性がある。その兆候は現れている。既に品薄になりつつある製品の一つが、ストレージインタフェースにiSCSIを採用したSAN(ストレージエリアネットワーク)を構築するためのイーサネットスイッチだ。通常のリードタイム(発注から納品までにかかる時間)は10~20日だが、最大で90日まで延びているケースがあるという。
「当社のさまざまな販売経路でリードタイムの長期化が見られている」とスタイン氏は語る。最近も、ストレージの納品が1週間遅れるという連絡を受けたという。「本格的な供給不足が起こりつつある」(同氏)
クラウドストレージベンダーのWasabi Technologiesは、HDDベンダーから「リードタイムが伸びる可能性がある」という連絡を受けた。WasabiのCEO(最高経営責任者)であるデビッド・フレンド氏によれば、リードタイムは従来の約90日から180日まで長期化する可能性があるという内容だった。この連絡を受けてWasabiはHDDが将来的に不足しないように調達計画を見直した。フレンド氏によれば、2020年4月下旬の段階で同年9月の需要を見越して調達している。通常ならその時期は6月分を発注している。
SSDも納品待ち
SSD(ソリッドステートドライブ)も、パンデミックの影響を免れていない。金融サービスを提供するBlueShore Financial Credit Unionの技術分野を統括するライアン・バージェス氏によれば、2020年3月初めに注文したSSDは通常より約3週間遅れで納品された。
ただしこうしたサプライチェーンの乱れが、必ずしも企業の投資計画に影響を与えているわけではないようだ。バージェス氏は「納品が遅れることは大きな問題ではない」と語る。「新型コロナウイルス感染症ほど世界的に影響のある出来事は、常に短期的な戦略を混乱させる可能性がある」と同氏は指摘するが、一方では「長期的な戦略には影響しない」と語る。
納品が停止するまでは、計画通りにIT製品の導入を実行する企業は少なくない。あるエンジニアリング企業のIT部門の管理者は、「2020年に計画していたストレージの購入には、新型コロナウイルス感染症の影響はなさそうだ」と語る。同社はストレージアレイをHewlett Packard Enterprise(HPE)製の「HPE 3PAR StoreServ」から同じくHPE製の「HPE Primera」にリプレースする計画で、2020年に約半分を、2021年に残りの半数を入れ替える大規模プロジェクトを進めている。同社はHPEからSSDのサプライチェーンの乱れについて知らせを受けたが、それでも「プロジェクトの進行に影響はない」とこの管理者は語る。
ある大手金融サービス企業でも、ストレージの導入は計画通りに進行しているようだ。同社は2020年のストレージへの支出は計画通りに推移し、2021年はさらに増やす。同社は3カ所目のデータセンターを開設する計画で、それに向けて着々とプロジェクトが進んでいる。
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