新型コロナ「接触確認アプリ」が抱える“根本的な問題”とは?:新型コロナが投げ掛けるプライバシー問題【第2回】
新型コロナウイルス感染症対策として、感染者との接触の有無を知らせる接触確認アプリケーションの開発が進んでいる。エンドユーザーのプライバシー侵害を懸念する声が上がっているが、問題は他にもある。
さまざまな企業や政府が、個人行動を追跡し、感染者と接触した人を特定する接触確認アプリケーションを利用して、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大を防止しようと取り組んでいる。ただし接触確認アプリケーションには考慮すべき課題も幾つかある。
接触確認にまつわる「プライバシー」以外の根本的な問題
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接触確認アプリケーションには「個人の移動にまつわる情報を匿名化できるかどうかという問題がある」と指摘するのは、法律事務所Bryan Cave Leighton Paisnerでデータプライバシー担当弁護士兼パートナーを務めるジェナ・バルデテロ氏だ。個人の年齢、性別、郵便番号など、収集する項目が多いほど、特に人口の少ない地域では、そのデータをたどって特定の人物を探り当てられる可能性が高くなる。
問題はそれだけではない。
そもそも十分な数のデータ提供者が集まらなければ、接触確認が機能しない恐れがある。接触確認アプリケーションのエンドユーザーは、「新型コロナウイルス感染症の患者と接触した」という通知を受信しない限りは「自分は接触していない」と思い込む。だが自分の周りにいた感染者が接触確認アプリケーションを利用していない場合は、そもそも接触の有無を判断できない。この状況はエンドユーザーに誤った安心感を抱かせる恐れがある。「接触確認アプリケーションは新型コロナウイルス感染症に対抗する有用な手段だが、自分が感染者に接触した可能性があるかどうかを100%判定するものではないことを認識してもらうことが重要だ」(バルデテロ氏)
米国がいまだに検査不足という問題を抱えていることも課題となっている。「自分が新型コロナウイルス感染症の患者の近くにいたとして、その相手が検査によって感染を確認できていなければ、正しい情報を報告できない」とバルデテロ氏は懸念する。
接触確認アプリケーションは「エンドユーザー自己隔離を続けるべきかどうかを判断する助けになり得る」とバルデテロ氏は指摘する。とはいえ、より良い選択をするための情報収集の手段の一つである点を忘れてはいけない。
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