「NAS」「SAN」「DAS」と「コンポーザブルインフラ」の基本的な違いとは?:新旧ストレージシステムを比較【中編】
「NAS」「SAN」「DAS」といった従来のストレージアーキテクチャに加え、近年は「コンポーザブルインフラ」が登場した。NAS、SANを紹介した前編に続き、本稿はDASとコンポーザブルインフラを紹介する。
NAS(ネットワーク接続型ストレージ)やSAN(ストレージエリアネットワーク)以外の従来型ストレージアーキテクチャにDAS(直接接続型ストレージ)がある。前編「いまさら聞けない『NAS』と『SAN』の基礎 両者の違いとは?」で紹介した通り、NASやSANの場合、サーバはネットワークを介してストレージに接続する。これに対してDASの場合、サーバはストレージと直接接続する。ネットワークを要因とするデータ転送の遅延を解消できる。
DASの長所と短所
導入とメンテンスが容易なことがDASのメリットだ。構成は非常にシンプルで、基本的にはサーバとストレージを1対1で接続する。このためDASの導入やメンテナンスにかかるコストは安価になる傾向がある。DASは高度な管理機能を搭載していない場合もあるが、分散処理ミドルウェア「Apache Hadoop」やメッセージキューミドルウェア「Apache Kafka」によるデータ管理も可能なため、必ずしもDAS自体の管理機能が問題になるわけではない。
複数のストレージを1つの共有ストレージとして利用できないことが、DASのデメリットだ。DASの拡張性は高くないため、容量を増やす際はDASを個別に増設する必要がある。その結果としてサイロ(孤立した状態)化が進んで使い勝手の良くないストレージシステムが出来上がる上、過剰なストレージ容量を抱えてしまうことになる。ただしストレージのリソースを効率的に使用できない問題は、DASに限らずNASやSANでも発生する。
最近のアプリケーションの要件は頻繁に変わりがちだ。ストレージシステム側も迅速にリソース構成を変更しなければならないが、NAS、SAN、DASといった従来型アーキテクチャのストレージシステムでこれに対処するのは簡単ではない。そのため構成管理の自動化といった従来型のストレージアーキテクチャにはない機能が必要になる。
ストレージの課題を解消する「コンポーザブルインフラ」とは
サーバ、ストレージ、ネットワークなどの物理リソースを抽象化し、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を介して制御できるようにしたインフラが「コンポーザブルインフラ」だ。アプリケーション要件の変化に合わせてリソースを動的に構成、再構成できる。コンポーザブルインフラは、ベアメタル(物理)サーバのリソースや仮想マシン、コンテナを使ってアプリケーションを実行できる。コンポーザブルインフラのAPIとサードパーティー製の構成管理ツールを連携させることで、リソースを動的かつ自動的に割り当てることが可能だ。
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「NAS」「SAN」の基礎を幅広く
コンポーザブルインフラはリソースを個別に分離し、アプリケーション要件に応じて個別に拡縮できる。必要に応じてストレージのリソースを割り当て、不要になったら他のアプリケーションが使用できるように解放する。こうしたコンポーザブルインフラの制御はソフトウェアによって水面下でなされる。管理者がハードウェアを手作業で構成、再構成する必要はない。DAS、NAS、SANの各ストレージシステムのリソースをプール化して使用することも可能だ。
構成要件を事前に決めておく必要がないことが、コンポーザブルインフラのメリットとして挙げられる。コンポーザブルインフラは使用状況に応じてリソース配分を最適化し、リソースの使用率を向上させることができるからだ。構成管理を自動化すれば、運用管理負荷を低減できることもコンポーザブルインフラのメリットだ。
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