オンライン教育が生む「データ」は学校をどう助け、どう苦しめるのか:コロナ禍で変わる教育現場のデータ活用【前編】
新型コロナウイルス感染症の影響で、教育機関はオンライン教育を強いられることになり、データを扱う機会が広がった。これは教育機関にメリットと課題の双方をもたらすと専門家は指摘する。どういうことなのか。
教育現場は常に目まぐるしく変化している。不確実さを伴い、データが散在する中で、教員と学区は教育におけるデータの活用に苦心している。
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オンライン教育とデータ分析
政府機関は教育機関がシステムをどのように用いており、どこで不足を感じているのかを確認するために、可能な限りデータを収集しようとしている。だが全てのデータを管理することは小規模な学区にとって負担が大きい。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として必要になったオンライン教育においても、データ収集、学習者への連絡、目標達成のバランスは、必ずしもうまく取れているわけではない。
データが教育にもたらす「メリット」と「課題」
教育者の目標は「重要な知識を効果的な方法で学習者に伝えること」だ。テストの成績、教員の講評といったデータポイント(データの発生源)を追跡することで、翌年の教育計画立案に役立てることができる。
「データは教育において不可欠な役割を果たしている」と、オンライン教育支援サービスを手掛けるAll CampusのCEO兼高等教育マーケティング担当であるジョー・ダイヤモンド氏は述べる。匿名の集計データを活用することで、ベンダーはアプリケーション開発、学習者は学習パフォーマンスを向上させることができる。
教育の目標は「学習者が将来成功する道筋を付けること」であり、データ収集は部分的にこれを支援する。入学初日から卒業まで学習者には多様な要因が関わり、個人に適切な教育を施すには概して苦労がつきまとう。COVID-19のパンデミック(世界的大流行)によってそれはさらに困難になった。
「パンデミックとそれに伴うオンライン授業の増加は、教育機関が教育活動全体を完全に可視化することを難しくした」と、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)ベンダーTealiumの共同創設者兼CTO(最高技術責任者)であるマイク・アンダーソン氏は指摘する。教育機関は、学習者に提供するデジタル体験をより良くすることに苦労している。「手元にある豊富なデータを活用できれば、教育機関は利益を享受できるだろう」(アンダーソン氏)
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