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AWSのCloudEndure Disaster RecoveryとAzure Site Recoveryの用途、構造の違い「CloudEndure Disaster Recovery」「Azure Site Recovery」を比較する【前編】

代表的なDRaaSであるAWSの「CloudEndure Disaster Recovery」とMicrosoftの「Azure Site Recovery」。両者は何が違うのか。用途とアーキテクチャの観点から比較する。

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 これまで災害対策(DR)に取り組んできた企業は大企業が中心だった。コストが高額で作業が複雑なことが主な理由だ。現在ではAmazon Web Services(AWS)やMicrosoftなどのクラウドベンダーが、DRに必要な機能をまとめたクラウドサービス「DRaaS」(Disaster Recovery as a Service)を提供し、企業がDRに取り組みやすくしている。

 DRaaSとしてAWSは「AWS CloudEndure Disaster Recovery」(AWS CloudEndure)を、Microsoftは「Microsoft Azure Site Recovery」(以下、Azure Site Recovery)を提供する。ユーザー企業はDRaaSを利用することで、自社の重要なサーバをクラウドサービスにレプリケート(複製)し、災害発生時にはクラウドサービスに用意したレプリカに切り替えるフェイルオーバーを実行できる。

 2019年1月、AWSはDRベンダーのCloudEndureを買収し、データレプリケーション技術を自社サービスに取り込んだ。これによりAWSのクラウドインフラを使ったDRが可能になった。Microsoftは2014年にDRaaS「Hyper-V Recovery Manager」の名称を「Azure Site Recovery」に変更した。本稿はAWS CloudEndureとAzure Site Recoveryそれぞれの用途とアーキテクチャを比較する。

用途の違い

 AWS CloudEndureはデータベースやアプリケーションの保護を目的としている。オープンソースの「MySQL」やOracleの「Oracle Database」、Microsoftの「SQL Server」といったリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)に加えて、SAPの統合業務(ERP)パッケージ「SAP S/4HANA」やMicrosoftのメールサーバ「Exchange Server」、Webアプリケーションサーバ「Internet Information Services」(ISS)などのアプリケーションの保護が可能だ。

 Azure Site Recoveryは、Exchange ServerやSQL Server、ドキュメント管理システム「SharePoint Server」、業務システム群「Microsoft Dynamics」などのMicrosoft製品向けにレプリケーション機能を提供する。サードパーティー製品とも連携でき、SAPやOracle、Red Hat、IBM製品が稼働するインフラの保護にも利用できる。

アーキテクチャの違い

 AWS CloudEndureはVM単位でデータベースやアプリケーションを保護する。AWS CloudEndureを利用するには、IT管理者は保護対象のVMにエージェントをインストールしなければならない。このエージェントはVMのOSやシステム状態、ファイル、データベース、アプリケーションをAWSのステージング領域に複製する。このステージング領域は、低コストのAWSのVMサービス「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)で構築したVMをベースとする。データの保存先はAWSのブロックストレージサービス「Amazon Elastic Block Store」(Amazon EBS)だ。

 Azure Site Recoveryは、Microsoftのハイパーバイザー「Hyper-V」で稼働するVMとAzureとの間のレプリケーションを実行するために「Azure Site Recovery Services Agent」というエージェントソフトウェアと「Azure Site Recovery Provider」というサーバソフトウェアを利用する。IT管理者はオンプレミスのHyper-Vホスト(Hyper-Vを稼働させるサーバ)にAzure Site Recovery Services AgentやAzure Site Recovery Providerをインストールする必要がある。

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