コールセンターにおける「文字起こし機能」の価値【前編】
コールセンター関連会社がコスト半額で「文字起こし精度」を高められた理由
コールセンター向けクラウドサービスを手掛けるSharpen Technologiesは、自社サービスの自動文字起こし機能の精度向上を目指して音声認識システムを刷新した。システム移行の背景は。
Sharpen Technologiesが提供するコールセンター向けクラウドサービスは、通話音声の自動文字起こし機能を含む。同社はこの機能を無料で提供しており、ユーザー企業からも好評を博していた。だが同社は数年前「文字起こしが不正確だ」という苦情をあるユーザー企業から受け取った。
「確かに、当時は文字起こしの精度が優れているとは言えなかった」。Sharpen Technologiesで製品担当のバイスプレジデントを務めるアダム・セトル氏はそう語る。同社が採用していた文字起こし機能がどこのベンダーのものかについて、セトル氏は明らかにしていない。
セトル氏によると、苦情を伝えたユーザー企業は、自動文字起こし機能をキーワード検索に利用することを想定していた。「文字起こしが誤っていれば、キーワードを検索しても該当する文章が出てこないので、意味がない」と同氏は述べる。
この苦情をきっかけに、Sharpen Technologiesは新しく自動文字起こしツールのベンダーを探し始めた。そして2015年設立の音声認識分野のスタートアップ(創業間もない企業)であるDeepgramに着目した。
「深層学習」で精度向上 コストも半分に
Sharpen TechnologiesがDeepgramを知ったのは、あるカンファレンスでDeepgramの音声認識技術のデモを見たのがきっかけだったという。Deepgramのシステムは、AI(人工知能)技術の一種である深層学習をベースに構築されている。ユーザー企業はコールセンターの通話に関する基本的なデータセットを使って、事前に深層学習モデルをトレーニングできる。学習用の音声ファイルを追加でアップロードして深層学習モデルをトレーニングすることによって、音声認識の精度を高められる。
Deepgramのシステムはクラウドサービスでもオンプレミスのインフラでも稼働する。ユーザー企業はAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)経由で音声認識機能を利用することも可能だ。
Sharpen Technologiesは、Deepgramの採用を決める前に、複数のスタートアップや大手ITベンダーの音声認識製品を検討した。しかし、どれも一長一短だった。頻繁に文字起こしのミスが生じる製品もあれば、価格が高額過ぎる製品もあった。「以前利用していたシステムの8倍のコストがかかっても、品質は8倍にならない」とセトル氏は話す。
自社サービスのユーザー企業に自動文字起こし機能を無料で提供しているため、Sharpen Technologiesは音声認識製品の価格に敏感になる必要があった。最終的に選定したDeepgramのシステムの利用料金は1時間当たり23セント(約21円)だ。Sharpen Technologiesが以前利用していたシステムと比べてコストを約半分に抑えられる。
後編は、ユーザー企業がSharpen Technologiesの新しい自動文字起こし機能を実際にどう活用しているかに焦点を当てる。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
5
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
6
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
7
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
8
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
9
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
10
「IT運用・情報システム業務」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー