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「組織レジリエンス」の失敗しない進め方 専任チーム結成後にすべきことは?「未知に備える」力を磨く【後編】

企業が危機を乗り越える回復力を身に付けるために、参考にすべきPDCAサイクルがある。これに沿って取り組めば、「組織レジリエンス」を実現できる。何に取り組めばいいのか。詳細をまとめた。

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 企業がさまざまな脅威にさらされる中、組織として危機を乗り越えるための回復力(レジリエンス)が重要だ。「組織レジリエンス」のガイドラインを紹介した前編「危機に強い企業の秘訣は『組織レジリエンス』 話題の概念の“つかみどころ”は」に続き、後編となる本稿は組織レジリエンスを実現するためのPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを説明する。

専任チームを結成し、自社ビジネスを徹底分析することが出発点

 組織レジリエンスの強化に向けたPDCAサイクルは、International Organization for Standardization(ISO、国際標準化機構)やASIS Internationalといった機関が推奨している。組織レジリエンスを高めるための“ロードマップ”として有用だ。

計画(Plan)

 まず経営陣が「組織レジリエンス担当チーム」を設置する。このチームは企業の各部門から情報を集め、ビジネスの全体像を細かく把握することがミッションだ。そのためには人員の配置、業務フロー、使っている技術や施設、企業文化、リーダーシップの在り方について調査する必要がある。組織レジリエンス担当チームはリスク分析をし、システムの脆弱(ぜいじゃく)性といった、危機を招きかねない「企業の弱い部分」を洗い出さなければならない。それと同時に、危機に直面した際の対策を事前に考えることも不可欠だ。

実行(Do)

 計画で定めた方針や取り組みを実行する。実行の結果として危機に強くなる意識が浸透し、レジリエンスを備えた組織ができる。このフェーズの鍵を握るのは、組織レジリエンスの実現に向け、従業員に具体的な行動を詳しく示すことだ。適切な行動を定着させるには、しっかりした訓練はもちろん、経営層を巻き込んだ情報共有や定期的な状況のチェックも欠かせない。

評価(Check)

 実行のフェーズを終えたら、組織レジリエンス担当チームはそれぞれの取り組みをテストして、“使い物になるかどうか”を検証しなければならない。場合によって、取り組みの見直しや追加が必要になる。他にも、緊急時にリーダーや現場の従業員が自分の取るべき行動を十分に理解するための教育が大切だ。

改善(Act)

 組織レジリエンスの追求には、継続的な改善が欠かせない。ビジネスを取り巻く環境の変化に応じて、組織レジリエンス担当チームは方針、計画、手順を随時更新する必要がある。定期的に従業員へ情報を発信し、知識を深めながら組織レジリエンスに取り組むモチベーションを保つための活動も、組織レジリエンス担当チームの腕の見せどころだ。


 激変の時代だからこそ、組織レジリエンスは企業にとって生き残りを左右する重要な要素になる。サイバー攻撃をはじめとした脅威を意識し、組織レジリエンスの強化に取り組むことはどの企業にとっても損することはないと言えそうだ。

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