大手ホテルが「データセンター縮小」「インフラ9割クラウド移行」に挑む理由:AWSを活用してコロナを乗り切るWyndham【前編】
ホテルフランチャイズのWyndham Hotels & Resortsはデータセンターを縮小し、ITインフラの9割をクラウドサービスに移行する目標を掲げている。「AWS」へのシステム移行に取り組む同社の施策とは。
Wyndham Hotels & Resorts(以下、Wyndham)は「Days Inn」や「Ramada」など、全世界で20種類のホテルブランドを運営するホテルフランチャイズ企業だ。同社は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の中でも事業を継続し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するために、Amazon Web Services(AWS)の同名クラウドサービス群への移行を進めている。
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親会社Wyndham Worldwide(現Travel + Leisure)からホテルとリゾート事業を分社化するという決定を受け、Wyndhamは2018年に独立事業者となった。経営コストの削減を目指す中、同社は分社化をきっかけにデータセンター資産の縮小を進め、自社のITインフラの90%をクラウドサービスで運用するという目標の達成に向けて動き出した。
クラウド移行で目指す“ある目的”とは
Wyndhamは数年をかけたAWS移行の取り組みの途上にある。現在までに宿泊予約と資産管理、データ処理システムを実行するITインフラをAWSに移行させた。AWSの機械学習サービス群を利用して、約9000軒のホテルの稼働率の最適化を目指している。「AWSの採用で、地理的な条件やブランドから、各ホテルにふさわしい最適な価格と割引率、滞在ルールを見極めて消費者に提供できるようになる」と同社は説明する。
DXに取り組む中で、Wyndhamは宿泊予約を自動化し、滞在者の体験を改善する技術を導入して、ホテルの業務効率を上げることを目指す。クラウドサービスの利用を拡大させることで、新しいデータと複数のシステムのスムーズな連携が可能になり、中核事業であるホテルフランチャイズの成長に注力できるようになると、同社は考えている。「仮に夏の旅行シーズンのピーク時にパンデミックが明け、自社のシステムへのアクセスが急増したとしても、AWSのグローバルインフラを利用することでその需要を満たすことができる」(同社)
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