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Zoomにとってシンガポールこそが「アジアの要」である理由ZoomのAPAC市場戦略【後編】

Zoom Video Communicationsはシンガポールにデータセンターを開設し、APAC市場に向けた投資を続けている。競合ひしめく市場で、Zoomはどのような成長戦略を描いているのか。

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 前編「『Zoom』を“ただのWeb会議ツール”だと思い込んでいないか?」に続き、後編となる本稿は、2021年9月にZoom Video Communicationsが開催したオンラインイベント「Zoomtopia」の内容から、アジア太平洋(APAC)向けの成長戦略を紹介する。

 Zoom Video Communicationsはここ数年でAPACへの投資を加速させてきた。2020年8月にはシンガポールにデータセンターを開設し、同国内でサービスのレイテンシ(遅延)を低減させながら、ユーザーがAPAC圏内でデータをやりとりできるようにした。

Zoomにとってシンガポールが「APAC進出の要」である訳

 Zoom Video CommunicationsのAPACエンタープライズセールス担当責任者であるラアグラン・パシー氏はこのデータセンターについて、「シンガポールと東南アジアの顧客のために、当社が尽力する姿勢を示すものだ」と位置付ける。シンガポールは同社にとって、グローバル市場、とりわけ東南アジア市場に進出するための戦略的拠点だ。このデータセンターは「シンガポールの地位をさらに高める存在だ」とパシー氏は語る。

 「当社は引き続き、東南アジア諸国連合(ASEAN)や韓国、インド、オーストラリアを含めたAPAC進出を拡大させる」。Zoom Video CommunicationsのAPAC責任者リッキー・カプール氏はこう述べる。同社は既に、APACで営業、技術サポート、ビジネス開発、パートナーシップチームを強化しているという。

 カプール氏は元Microsoft取締役であり、Cisco SystemsやMicrosoftをはじめとする競合との市場競争も認識している。両社ともこの地域の最大手企業に深くリーチしている。

 「大企業が必要に応じて複数のコミュニケーションツールを使うことはよくある」とカプール氏は指摘する。Zoom Video Communicationsはデジタルヘルス分野や教育分野など、高品質なコミュニケーションを必要とする分野に的を絞って、競合他社と共存するのが狙いだ。

 Zoom Video Communicationsの2022年度第2四半期(2021年5月〜7月)決算は、売上高が前年同期比で約54%増の約10億2150万ドルとなった。2021年7月までの12カ月で売上高に10万ドル以上貢献したユーザー数は2278人で、前年同期比で約131%増えている。

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