「いくらBCP予算が必要か」の狙いは数字ではない いじわるな質問に答えるこつ:BCP・DRの採用面接を乗り切るために【前編】
企業で「事業継続計画」(BCP)や「災害復旧」(DR)を担当する管理職は幅広いスキルを持つ必要がある。自分が即戦力であることを採用面接でどう伝えればいいのか。質問の具体例に沿ってヒントを探る。
企業の管理職の採用面接で、必ず出てくると言っていい質問がある。「あなたはチームを統括する上で何を重視するか」「これまでどのような難局を乗り越えてきたか」「なぜ当社を目指しているのか」――。こうした想定しやすい質問に対する答えは事前に準備できる。ただし「事業継続計画」(BCP)や「災害復旧」(DR)を担当する管理職の採用面接となると、標準的な質問では済まない。BCPやDRの立案と実行は企業にとって“死活問題”になるため、応募者の経験やスキルについて詳しくヒアリングすることが当たり前だ。
BCPやDR担当の管理職は「人間関係」「ビジネス」「IT」といった、幅広い分野のスキルを必要とする。自社の置かれている状況を分析し、震災やサイバー攻撃をはじめとした、さまざまな危機のシナリオを描かなければならない。経営陣に事業継続に向けた取り組みの重要性を訴え、予算を確保してもらうこともBCPやDR担当の管理職の仕事だ。
つまりBCPやDR担当の管理職はIT部門の垣根を越え、自社のさまざまなキーパーソンを巻き込まなければならない。そのため採用面接では、他のポジションよりも広範に質問されることを意識しておこう。本稿では具体的な質問を取り上げ、その狙いや面接官の心をつかむ回答のヒントを探る。
質問1.「もし採用されたら、あなたはBCPやDRにどのくらいの予算が必要と考えているか」
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この質問の狙いは、数字ではない。ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃の広がりや気候変動による自然災害の発生、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)など、企業がBCPやDRに取り組むべきさまざまな理由がある。採用側はこの質問を通じて、応募者がBCPやDRの重要性を十分に意識し、「相当の予算が必要だ」と言い切れる勇気があるかどうかを確かめたいと考えている。
BCPやDRの具体的な投資対象としては、オフサイト(本社から離れたDR用のIT設備)の用意やコンサルティングサービスの利用、従業員向けのトレーニングなどがある。BCPやDR担当の管理職は、場合によっては「あなたが要求している予算を確保できるわけがない」といった逆風に立ち向かわなければならない。そのときは、なぜその投資が欠かせないのか、明確な理由を示して説明することが欠かせない。採用面接の場ではまず、そのために必要なコミュニケーション能力を持っていることをアピールするとよい。
後編は、BCPやDRの管理方法や認定資格についての質問を取り上げる。
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