“開発者の満足度”が低いと顧客満足度も下がる? 快適な職場を用意する方法:“開発者エクスペリエンス”を下げないための5つのヒント【前編】
企業は“開発者の満足度”を軽視しがちだ。開発者の満足度は製品の品質に影響する。開発者の満足度を高め、質の高い仕事をしてもらうにはどうすればいいか。
企業は洗練された心地の良いカスタマーエクスペリエンス(CX)を生み出すことを自社の開発者に求める。だが企業は、開発者向けに不便なシステムと時代遅れの開発プロセスしか提供していないことがある。開発者向けオンラインコミュニティーを運営するDevadaが公開した、開発者を対象に実施した調査レポート「2019 State of the Developer Report」によると、回答者の66%が開発者の生産性向上を妨げる理由に「レガシーシステムの管理」を挙げた。一方で、企業のビジネス戦略において開発チームの重要性は高まっている。同じ調査レポートによると、チームの生産性を高めるよう上司から求められている開発者は70%近くに達する。
このような企業と開発者とのすれ違いは、開発者が自身の仕事に不満を抱くという弊害を生む可能性がある。開発者が自身の職務と、業務で使う技術やIT製品に対して抱く不満は、生産性や創造性の低下につながる。最悪なのは、適切かつ効果的なCXを提供するという最終目標を、開発チームが見失うことだ。これではビジネスは成功しない。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がはびこる時代は、デジタルチャネルを通したCXは特に重要な要素になる。コロナ禍では顧客と企業のやりとりは概してデジタルチャネル経由になるので、Webサイトやモバイルアプリケーションのバグがビジネスの成否を分ける可能性がある。これを前提にすれば、開発者の業務体験を意味する「開発者エクスペリエンス」を向上させる必要があることは明白だ。各企業にはそれぞれ独自のアプローチがあるだろう。だが、どの企業も共通して避けるべき重大な間違いもある。そうした間違いを避けるヒントを5つ紹介する。
ヒント1.優れたUXを必要とするのは顧客だけではない
設計が優れているものはうまく機能するだけではなく、快適に使える。しっかりと設計された開発ツールは、開発者を満足させる。「思考の流れ」を止めることなく、目前の問題に集中できるからだ。不便な開発ツールやブラックボックス化したバグ、煩雑な手作業に悩むことはない。無計画な機能拡張や他システムとの連携を施した開発ツールとは異なり、しっかりと設計された開発ツールは、一貫性があって使いやすいと開発者に感じさせる。
開発ツールの進化は顕著で、中にはB2Cのシステムと遜色のない使い勝手を実現しているものがある。サードパーティーの開発者が使いやすいオープン性を備える開発ツールもある。サードパーティーの開発者は、システムのベンダーと同じ技術を利用し、一貫性の高いユーザーエクスペリエンス(UX)を得られるようになっている。開発分野ではオープンソースが不可欠になっていることも知っておいた方がよい。オープンソースは、開発ツールのコラボレーションを可能にし、ベンダーと開発者双方にとってより良い結果をもたらす。
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ヒント2.古いシステムへの新しい技術の組み込みを避ける
新しい方法を採用するときは過去を振り返ってはならない。新しい開発ツールが、過去のものより洗練されていて、より機能豊富だからという理由だけではない。新しい技術をレガシーシステムに組み込むのには時間もかかるし、苦労した分の見返りを得られないこともある。
とはいえ、古い仕組みや技術を使わざるを得ない開発者もいる。そのため、オンプレミスのレガシーシステムとクラウドサービスの橋渡しをする技術に企業が投資している。こうしたアプローチにより、企業がITに関するあらゆる要素を一夜にして変える必要はなくなり、徐々に新しい技術へと移行させることが可能になる。マネージド型のクラウドサービスは特に人気がある。企業はマネージド型のクラウドサービスサービスを導入するとIT管理の負担が減り、クラウドサービス特有の開発者機能を利用できる。
後編は、残る3つのヒントを紹介する。
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