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ゴールドマンが“クラウドベンダー”に? AWSと始めた「金融クラウド」の正体Goldman Sachsの新しい金融クラウドサービスとは【前編】

Goldman SachsはAWSと協力し、新しい金融データ分析クラウドサービスを他の金融機関に向けて提供する。両社の協業は金融サービス業界にどのような価値をもたらすのか。

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 大手金融機関のGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)は、金融機関をはじめとする金融サービス業界の他の企業向けに、データマネジメントとデータ分析のためのクラウドサービスを提供する計画を進めている。この計画に協力するのが、同社の技術パートナーであるAmazon Web Services(AWS)だ。

 この計画は2021年に米ラスベガスでAWSが開催した、同社サービスのユーザー企業とパートナー向けカンファレンス「AWS re:Invent 2021」のオープニング基調講演で発表された。発表の場に立ったのは同社のCEO、アダム・セリプスキー氏だ。セリプスキー氏はアンディ・ジャシー氏の後任として、2021年初めからAWSの指揮を執っている。

ゴールドマンの金融クラウド「Goldman Sachs Financial Cloud for Data」の中身

 「Goldman Sachs Financial Cloud for Data」と名付けられたこのクラウドサービス群は、データマネジメントとデータ分析のための機能を提供し、金融サービス企業が自前でシステムを開発する時間とコストを節約できるよう支援する。

 金融データ分析用の既存のシステムは、概して「レガシー技術のつぎはぎをベースとする」とGoldman Sachsは指摘する。そのため最新の投資手法を取り入れたり、システムの待機時間やシステム規模の要件を満たしたりするのが難しいという。その結果、金融サービス企業はインフラの管理や専門知識の取得に時間を費やし、イノベーションが遅れる傾向にあると同社は説明する。

 リアルタイム金融データ分析のためにGoldman Sachs Financial Cloud for Dataを利用することで、金融サービス企業は自社独自のデータとGoldman Sachsが保持する金融市場データを組み合わせて利用できると、Goldman SachsとAWSはアピールする。

 Goldman Sachsのチェアマン兼CEOのデビッド・ソロモン氏は、同社がAWSと連携することで、金融サービス企業向けクラウドサービスを「再定義」すると同時に、金融サービス企業が社内開発者リソースを手放せるようにもなると話す。「金融サービスとクラウドコンピューティングの大手企業2社が協力し、金融業界で増え続ける膨大なデータから価値を引き出す方法に革命をもたらすことにわくわくしている」(ソロモン氏)

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