「IaaS移行」を考えたらまず検討しておきたいポイント:IaaS移行にかかるコストを整理する【前編】
オンプレミスインフラからIaaSへの移行を考えるCIOは、移行計画を立てることにもコストがかかることを忘れてはならない。IaaS移行の計画段階でかかるコスト要素について詳しく説明する。
企業はさまざまな狙いで、ワークロード(アプリケーション)をオンプレミスインフラからIaaS(Infrastructure as a Service)に移行させる。例えば設備投資(CAPEX)から運用コスト(OPEX)に切り変えることや、災害リスクを最小限に抑えること、ITインフラの拡張性を高めることなどが挙げられる。
IaaS移行を検討するときの重要な要素の一つが、IaaSのコスト計算だ。具体的には、IaaS移行の準備や移行作業、移行後のワークロードの運用などにかかるコストや作業時間を計算する必要がある。
IaaS移行は計画を立てるだけもコストがかかる
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CIO(最高技術責任者)は、IaaS移行の準備にかかるコストを正確に把握する必要がある。少なくともIaaS移行プロジェクトに対し、関係者は多くの時間を割くことになる。一般的には、IaaS移行に関連するシステムの管理スタッフを中心に移行チームを編成することになる。加えてIaaS移行プロジェクトには、ストレージやネットワーク、セキュリティに関わる人材も参加する。さらに移行対象のワークロードによっては、IaaS移行の専門家や企業のリスク管理部門、開発部門の支援が必要になる可能性がある。
上記で説明した以外に、IaaS移行計画の策定や移行作業の序盤にかかるコストとして、CIOが考慮すべき要素を以下に挙げる。
- IaaS移行準備や移行計画の策定のためのスタッフを雇用したり、育成したりするためのコスト。または自社の人材では人数やスキルが足りない場合に利用する、システム移行準備サービスのコスト
- 自社のワークロードの依存関係を特定する評価ツールのコスト
- ワークロードに適したサーバやストレージ、ネットワーク、セキュリティ対策のIaaSへの導入方法を判断したり、適切なIaaSを選定したりするためのコスト
- IaaSにおけるインフラの構築に必要なツールのコスト
- IaaSにおけるインフラの状態やトラブルシューティング情報などの必要な情報を可視化するための、新しいインフラ管理ツールのコスト
- こうしたツールは、IaaS移行後に導入するのではなく、計画時点で用意した方がスムーズに移行作業を進めることができる。
- ワークロードやインフラを稼働させるときの、オンプレミスインフラとIaaSそれぞれにおけるコスト
- OS、データベース管理システム(DBMS)などのミドルウェア、ソフトウェアは、オンプレミスインフラとIaaSでライセンス条件が異なる場合がある。さらにIaaSで実行する際に必要なライセンス数が増減する場合がある。
- オンプレミスインフラと移行先のIaaSを接続するためのネットワークのコスト
- 移行作業期間が数カ月に及ぶ場合や、移行完了後もオンプレミスインフラに残すワークロードが存在する場合は、このコストが全体のコストに大きく影響を及ぼす場合がある。
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