聖徳学園が校内SNSで解消 紙連絡の「読まれているかどうか分からない」問題:聖徳学園の校内SNS活用【中編】
聖徳学園は生徒や保護者との情報共有に「Talknote」を採用している。聖徳学園はTalknoteをどう活用しているのか。保護者との情報共有の手段を紙からTalknoteに移行させたことで得られた効果とは。
私立中高一貫校の聖徳学園中学・高等学校(東京都武蔵野市)は、2015年にAppleのタブレット「iPad」を採用するなど、教育に積極的にITを取り入れてきた。同年にTalknoteの同名コミュニケーションサービスも導入し、情報共有の効率化を図っている。
前編「教職員と生徒間の連絡に『Talknote』を利用 聖徳学園が“国産”にこだわった理由」に続く本稿は、同校でITシステムの導入や管理を担当する横濱友一氏(最高情報セキュリティ責任者)と鶴岡 裕一郎氏(情報システムセンター長)の話を基に、保護者と教職員間のコミュニケーションへのTalknoteの活用方法と、Talknoteの導入効果を説明する。
聖徳学園は、まず教職員の間だけでTalknoteを利用し、導入効果を確認してから生徒への導入に踏み切った。同校は2015年4月に入学した中学1年生に、同校を通して1人1台iPadを購入してもらい、そのiPadにTalknoteをインストールした。
2016年以降は、新しく中学校へ入学する1年生にiPadとTalknoteライセンスを購入してもらっている。それと同時に、まだiPadを購入していない生徒(2016年4月時点の中学3年生から高校3年生まで)へのiPadの貸与とTalknoteのアカウント発行も進めた。2020年4月以降は中学と高校の全生徒がiPadを購入し、Talknoteを利用している。生徒にとってのTalknoteの主な用途は、委員会や部活動などの連絡だ。
保護者とのコミュニケーションを紙からTalknoteへ その効果は
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聖徳学園は2017年には保護者にTalknoteのライセンスを購入してもらい、保護者の私物端末にモバイルアプリケーションをインストールしてもらった上で、教員と保護者間の連絡にTalknoteを利用するようになった。生徒向けのページと保護者向けのページは教員向けのページとはテナント(利用画面)を分けて作成し、教職員が教職員向けのメッセージを誤って生徒や保護者に送信するといった事態を防いでいる。
教員は行事や年間スケジュールなどの告知、クラスや部活動での生徒の様子を伝える「学級通信」の配信といった保護者宛ての情報発信にTalknoteを利用している。従来の連絡手段は紙やメールだったが、保護者に連絡内容が伝わっているかどうかを確認しにくい点が課題となっていた。Talknoteには既読通知機能やリアクション機能があるため、保護者が情報を確認しているかどうかが分かりやすい。鶴岡氏は「これまで教職員と保護者間の連絡手段は、生徒に渡す紙のプリントが中心で、見落としや連絡ミスが避けられませんでした。Talknoteで直接情報伝達ができるようになったため、連絡ミスが減少しました」と話す。
Talknoteのグループ機能で気軽に文章や写真を投稿できることや、保護者からのリアクションが得られることがモチベーションにつながり、学級通信の年間発行数が増えた教員もいるという。「学級担任と保護者間のコミュニケーションが活性化しました」と鶴岡氏は話す。保護者からも、生徒の日々の様子が詳細に分かることが安心感につながるという声が上がっている。印刷コストの削減効果も得られた。
後編は、保護者にTalknoteを活用してもらうための工夫と、校内で安全にITツールを活用するための聖徳学園の取り組みを取り上げる。
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