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中国では「Zoom」じゃなく「Zhumu」を使う? 取引先の所在地事情に合わせた「配慮」のこつパートナー企業との協働を成功に導く4つのステップ【後編】

取引先とスムーズに共同作業をするためには、相手の状況に合わせた環境整備が不可欠だ。パートナー企業の拠点が海外ならば、使えるツールや業務時間帯が異なることもある。環境整備のポイントを紹介する。

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 前編「取引先との共同作業をスムーズにするツールは『協働レベル』で見極めよう」に続き、後編となる本稿は、パートナー企業との協働をスムーズにするために必要な準備と、協働が終わった後の後始末について解説する。

  1. “協働レベル”を検討し、適切なツールを選ぶ(前編で紹介)
  2. 特定のツールが使えない場合の代替策を検討する
  3. パートナー企業へのテクニカルサポートを整備する
  4. プロジェクト終了後の“後始末”をする

ステップ2.特定のツールが使えない場合の代替策を検討する

 中国のような特定の地域で事業を展開するパートナー企業と仕事をする場合、コミュニケーションツールやファイル共有に関して、さらに複雑な問題が発生する可能性がある。コミュニケーションツールの機能が、中国政府の規制によって制限がかかったり、グローバルに利用できなかったりするためだ。

 例えば筆者の会社が中国を拠点とするパートナー企業とWeb会議をするとき、Zoom Video CommunicationsのWeb会議ツール「Zoom」は使わない。代わりに中国企業Suirui TechnologyのWeb会議ツール「Zhumu」を使っている。

 同様に、ファイル共有サービスも使い分けている。筆者は通常、パートナー企業からサイズの大きいファイルを受け取るとき、Dropbox社のファイル共有サービス「Dropbox」の「ファイルリクエスト」機能を使用する。これを使うと、Dropbox経由でDropboxを使っていないユーザーからもファイルを受け取れる。ところが中国に拠点を置くパートナー企業はこの機能を利用できなかった。そのため、筆者がこのパートナー企業とファイルのやりとりをする際は、中国で一般的に使える別のファイル共有サービスを活用した。

ステップ3.パートナー企業へのテクニカルサポートを整備する

 どのような手法を選んでも、パートナー企業に技術的な支援を提供する必要は少なからず生じる。Dropboxを使ったファイル共有であれば、支援についてはさほど心配ない。だが、Microsoftのユニファイドコミュニケーション(UC)ツール「Microsoft Teams」(以下、Teams)や同社のファイル共有ツール「SharePoint」を利用したり、パートナー企業が自社ネットワークに接続できるようにVPN権限を付与したりする場合には、支援が必要だ。

 これらのツールやシステムは使用の際に、システム管理者による定義が必要な資格情報を要求する。パートナー企業には、TeamsやSharePointなどのツールの使用方法に関するマニュアルやドキュメントを提供する必要がある。VPN権限を付与する場合は、パートナー企業にクライアントソフトウェアを提供する。

 共同作業で使うツールやシステムのセットアップ作業中に問題が発生した場合、パートナー企業は取引先であるあなたの所属企業のIT部門にテクニカルサポートを受ける必要がある。自社のIT部門が社外のパートナー企業にもテクニカルサポートを提供できるかどうか、事前に確認しておくことが望ましい。さらに、海外のパートナー企業との協働プロジェクトは、幾つかのタイムゾーンにまたがって進行する可能性がある。そのため相手の所在地のタイムゾーンも加味した上でサポート提供時間を設定することが重要だ。

ステップ4.プロジェクト終了後の“後始末”をする

 パートナー企業との協働プロジェクトは、後始末の段階がおろそかになりがちだ。プロジェクトが終わってチームが解散したとき、Dropboxの共有フォルダにあるファイルはどうなるだろうか。TeamsやSharePointに残る全てのデータは。自社システムにアクセスするためにパートナー企業に提供した資格情報は。誰かのGoogle Drive個人アカウントに残されたファイルは。

 何の対処もせず、こうしたデータを放置してしまう場合がある。全てをほったらかしにすることが良いはずがない。残された共有フォルダは、セキュリティにおける弱点になる。終了したプロジェクトで使っていた共有フォルダを処分しないと、もう使われていないフォルダに新しい文書が誤って入ってしまうリスクがある。場合によっては、機密情報を無防備なまま保存してしまうことにつながる可能性もある。

 パートナー企業との協働プロジェクトを終了するプロセスには、共有フォルダやファイルの削除作業を必ず含めるべきだ。プロジェクトが終了したらファイルを安全な場所に保存して共有フォルダから削除し、外部ユーザーのアクセスを遮断する。

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