Googleがクラウドで奇策 「AWSやAzureと“戦わずに勝つ”」戦略とは?:クラウドニュースフラッシュ
Googleが進める「Google Cloud Platform」の拡充戦略や、NTTドコモの新しい仮想マシンサービスの発表など、クラウドに関するニュースを取り上げる。
クラウドベンダー各社は、独自技術を組み込んだデータ分析サービスの開発や提供を進めている。クラウドデータウェアハウス(DWH)サービス「Snowflake」の中外製薬の採用事例や、輸送ルート計算に特化したGoogleのデータ分析サービスなど、クラウドに関する主要なニュースを6つ紹介する。
中外製薬がクラウドDWH「Snowflake」を採用 その理由は
中外製薬は各部門が保有するデータを一元管理して分析可能にするために、Snowflakeの同名クラウドDWHを採用した。インフラとなるIaaS(Infrastructure as a Service)を選択できる点に加えて、暗号化や多要素認証などのデータ保護機能が充実している点を評価。今後は自社のデータをSnowflakeに集約し、同社の全社データ利活用システム「Chugai Scientific Infrastructure」(CSI)とSnowflakeを連携させることで、データ分析システムの整備を進める。これにより医薬品の治験から製品化までの期間短縮や、医療関係者への最適な情報提供の実現を目指す。(発表:中外製薬、Snowflake<2022年4月21日>)
Googleがクラウド市場で勝ち残る奇策「A+G」戦略とは?
GoogleはDWHやAI(人工知能)技術などのデータ分析サービスを意味する「データクラウド」や、システムとデータ、ユーザーのセキュリティを確保する「トラストクラウド」などの分野を中心にサービスの拡充に取り組む。グーグル・クラウド・ジャパンは、近年は「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」などの他社クラウドサービスを利用するユーザー企業が、データの利活用に「Google Cloud Platform」(GCP)の併用を検討するための相談が増えていると説明する。今後はこうした他社クラウドサービスのノウハウを持ったパートナーと協業し、「A(AWSまたはAzure)+G(Google)」といったマルチクラウドでの利用支援を進めるという。(発表:グーグル・クラウド・ジャパン<2022年4月6日>)
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AWSが調査 日本企業が最も必要とするITスキルとは?
AWSは労働者と雇用主のデジタルスキル(ITを活用する能力と知識)に関する調査レポートを発表した。日本とアジア太平洋地域(APAC:オーストラリア、インド、インドネシア、ニュージーランド、シンガポール、韓国)で2025年までに雇用主が最も必要とするスキル(複数回答)は、クラウド開発者向けのツールや、コミュニケーションと会計、顧客管理のためのSaaS(Software as a Service)など、クラウドサービスを活用するスキル(43%)だった。サイバーセキュリティのスキル(39%)、IT全般の管理やトラブルシューティングのためのテクニカルサポートスキル(35%)がそれに続いた。調査はAWSがコンサルティング会社のAlphaBetaに委託し、日本とAPACの雇用主2166人に調査した。(発表:アマゾンウェブサービスジャパン<2022年4月11日>)
国内IaaS市場の成長が鈍化する理由とは 富士キメラ総研が市場調査結果
IaaSの2021年度の国内市場規模は5314億円になる見込みで、2020年度と比較して30.1%増となった。同社はIaaS市場拡大の要因として、ゲームやWebサービスのインフラから、基幹系システムといった社内システムのインフラへIaaSの用途が拡大したことを挙げる。今後はデータ分析やAI技術を利用するためのサーバとしてのIaaSの需要が拡大するとみる。一方でAIアプリケーションやIoT(モノのインターネット)アプリケーションなどの開発効率化のために、システムインテグレーターを中心にIaaSではなくPaaS(Platform as a Service)を使う動きがある。そのためIaaSの成長は鈍化し、PaaS市場が拡大すると同社は予測する。(発表:富士キメラ総研<2022年4月19日>)
NTTドコモ、低遅延通信が可能なVMサービス「Compute D」を国内9拠点で提供
Compute Dは、同社が東北と東京、神奈川、北陸、東海、大阪、四国、中国、大分の9拠点(データセンター)で提供する仮想マシン(VM)サービス。ユーザー企業は最寄りの拠点を選択することで、低遅延のデータ通信が可能になる。CPUが実行する処理の一部をネットワークインタフェースカード(NIC)で実行する「Smart NIC」、データ転送用インタフェースのPCI ExpressカードとVMを直接接続する「SR-IOV」といった技術を利用し、高速なデータ通信を実現する。有償オプションとしてNVIDIAの物理GPU「NVIDIA T4」をVMで利用可能だ。料金は最小構成の1VM(仮想CPUが1つで仮想メモリが3968MB、ディスク容量が10GBのVM)につき月額6050円(税込み)から。(発表:NTTドコモ<2022年4月12日>)
GoogleがAIツール群「Optimization AI」を提供 組み合わせ最適化問題を計算
Optimization AIは、組み合わせ最適化問題を計算するためのAIツール群だ。Googleはその一機能として「Cloud Fleet Routing API」(CFR API)の提供を開始した。CFR APIは、荷物・乗客を輸送する車両の台数や目的地などの情報に基づいて、最も効率的な輸送ルートを計算できるようにする。輸送の途中で問題が生じた場合を想定し、輸送ルートを1日最大20回まで再計算できる。GoogleによるとCFR APIを活用することで、車両のCO2(二酸化炭素)排出量の削減や輸送時間の短縮が見込める。CFR APIの利用料金は、配送の目的地(配達回数)1件につき0.15ドル(税別)かかる。(発表:Google<2022年4月15日>)
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