自宅組と教室組が一体になれない“残念なオンライン授業”をなくす方法:理想的な「オンライン授業」のつくり方【後編】
授業において学習者は、教員から学ぶのと同じくらい、他の学習者から学んでいる。オンライン授業では、自宅と教室のそれぞれから参加する学習者同士のやりとりがしづらいケースがある。どうすれば解決できるのか。
対面教育で得られるメリットを、インターネットを活用した教育である「オンライン教育」で再現するには、どうすればよいのか。中編「オンライン授業はなぜWeb会議よりも難しいのか? その“納得の理由”」に続く本稿は、オンライン教育の中核要素であるオンライン授業を、対面授業に近づける方法を探る。
自宅と教室の学習者が「オンライン授業」でも一体になれる方法
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教員を撮影してWeb会議画面に映し出す作業は、教育機関にとって効果的なオンライン授業を実施するために必要な要素の一部にすぎない。黒板やその他の学習資料が自宅から授業に参加するリモート学習者から見えるようにする必要がある。リモート学習者の顔を教員が見られるようにすることも重要だ。教員がリモート学習者の顔を見られるようにすることで、真の双方向学習が実現する。
オンライン授業の設定で難しいのは、リモート学習者と対面学習者の間に双方向性をもたらすことだ。教室に設置したカメラを教員のみに向けたオンライン授業の場合、全ての学習者は教員の顔を見ることができる。リモート学習者同士と対面学習者同士も互いの顔を見ることが可能だ。だがリモート学習者と対面学習者が互いの顔を見ることは難しい。
教育機関は、こうしたやり方で十分だと考えるべきではない。学習者は教員から学ぶのと同じくらい、お互いから学ぶことができるためだ。授業でやりとりできる相手を「リモート学習者同士だけ」と「対面学習者同士だけ」に分けると、学習の効果が薄くなる可能性がある。
オンライン授業で、教育機関がリモート学習者と対面学習者に同様の体験をもたらそうとすると、Web会議用機器やWeb会議ツールの設定はもう一段階複雑になる。まず教育機関は教室の前方に、リモート学習者全員の顔を映すのに十分な大きさのディスプレイを用意する必要がある。これにより対面学習者はリモート学習者の顔を確認できる。加えてリモート学習者が対面学習者の顔を見ることができるようにするために、対面学習者の顔を捉えるカメラを教室に設置する。理想的な対面学習者の撮影方法は、普段は教室全体を広角で撮影し、学習者が発言する場面で発言者をズームで撮影する方法だ。
教育機関が“理想のオンライン授業体験”を実現する手段として、専門の映像コンサルタントやシステムインテグレーターによるオーダーメイドシステムの構築がある。ただしコストが高騰しがちだ。予算の範囲内でも、理想のオンライン授業システムを目指してシステムの構築に取り組むことで、リモート学習者はただ授業の映像を視聴するのではなく、授業に参加できていると実感でき、教員は全ての学習者に同じ水準で効果的に教えられると感じるようになる。
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