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Zoomはなぜ「Zoom IQ」を生み出したのか? “Zoom離れ”対策か「Zoom IQ」の存在意義【後編】

Zoom Video Communicationsが「Zoom IQ」の提供を決断した背景には、同社のビジネスを左右する“ある状況”がある。それは何なのか。Zoom IQは同社にとって、どのような意味を持つのか。

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 Zoom Video Communicationsの営業チーム向けツール「Zoom IQ」は、AI(人工知能)技術を使ってWeb会議による商談中の会話を分析し、収益を拡大するための洞察を得られるよう支援する。交通費や出張費を削減する目的でWeb会議を活用する場合、Zoom IQの機能は重要性を増す可能性がある。

「Zoom IQ」には何の意味があるのか

 コンサルティング会社McKinsey & Companyが2020年に企業の購買担当者3626人を対象として実施した調査では、大多数の購買担当者が、営業担当とのミーティングは対面より遠隔の方が望ましいと回答した。スケジュールの組みやすさ、移動時間の節約、安全性などがその理由だ。

 Web会議は業務上重要なコミュニケーションツールになった。だがオフィス回帰が進んだことから、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)のピーク時と比べると普及は鈍化している。そのためZoom Video Communicationsが高い収益成長を達成するには、別のところにも目を向ける必要がある。2022年2月に提供開始したコンタクトセンターのクラウドサービス「Zoom Contact Center」に続く、製品多角化の新しい試みがZoom IQと言える。

 「売り上げ拡大に結び付く予算は正当性を得やすい」と、調査会社Constellation Researchでアナリストを務めるディオン・ヒンチクリフ氏は説明する。「『営業』というビジネス機能は実験的なIT投資先として大きな注目を集めている」(ヒンチクリフ氏)

 営業チーム向けのZoom IQを皮切りに、AI技術でWeb通話のパフォーマンスを高めるアドオンツールの提供計画は、まだ続く見込みだ。Zoom Video Communicationsでプロダクト、データ、AI(人工知能)技術の責任者を務めるジョシュ・ダルバーガー氏には、将来的にZoom IQをシリーズ展開し、Zoom Contact Centerの利用を支援するコンタクトセンター向けのサービスも提供する考えがあるという。例えばコンタクトセンター向けのZoom IQには、担当者が早口になっていたり、顧客が話す時間を十分に取っていなかったりすると、それをリアルタイムで担当者に通知できるようにする機能を実装する見込みだ。

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